研究課題/領域番号 |
20KK0212
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分57:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
西村 英紀 九州大学, 歯学研究院, 教授 (80208222)
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研究分担者 |
新城 尊徳 九州大学, 歯学研究院, 助教 (20711394)
横溝 久 九州大学, 大学病院, 助教 (60866747)
小川 佳宏 九州大学, 医学研究院, 主幹教授 (70291424)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 糖尿病関連歯周炎 / メタボロミクス / プロテオミクス / RNA-sequence / 遺伝子改変マウス / 統合オミクス解析 |
研究開始時の研究の概要 |
近年のメタボロミクス解析の技術的進歩により、種々の代謝異常が糖尿病合併症の病態形成に重要な役割を果たすことが明らかになっている。本研究は、Joslin Diabetes Center・King研究室との国際共同研究により、①これまで未知であった糖尿病状態下での歯肉における代謝異常を、メタボロミクスを軸とした統合オミクス技術を駆使して解析し、②その結果を日米両集団で代謝プロファイル比較をする、としたユニークなアプローチによって、人種差を超えた汎用性の高い病態悪化因子の探索を行い、治療標的としての有用性を検証しようとするものである。
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研究実績の概要 |
本年度は、引き続き被験者のリクルートを実施した。新型コロナウイルスの世界的流行を受け、共同研究先であるハーバード大学医学部附属Joslin Diabetes Center(JDC)での2型糖尿病患者のリクルートが困難となり、先に日本人での健常者・2型糖尿病患者のリクルートを実施している。しかしながら、第六波の収束から、再び強い感染力を有した第七波・第八波の新型コロナウイルスの流行により、九州大学病院および連携先の医療社団法人高邦会・高木病院での外来業務が停滞し、特に糖尿病患者は重症化のリスクがあることから、それぞれの流行の波が治まるまで慎重にならざるを得なかったため、サンプルが充分数回収できていない。現在までに、非糖尿病者の重度歯周炎患者が7名、軽度歯周炎患者が2名、糖尿病患者の重度歯周炎患者が1名、軽度歯周炎患者から1名のサンプルが回収できている。2022年11月初頭には、九州大学病院として海外出張が可能となったため、共同研究先のJoslin Diabetes Centerに赴き、Dr.George L Kingと打ち合わせを行い、改めて方向性を確認することができた。統合オミクス解析には各群10検体の回収が必要であるが、本年5月中旬より、新型コロナウイルスが第5類に変更されるため、これまでの様々な制約がなくなり、各群のサンプル回収が大きく前進していく見込みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19のパンデミックによる影響が未だに大きく、九州大学病院、提携先病院および共同研究先でのたび重なる研究活動の自粛や制限を迫られたため、検体の回収が想定よりもやや遅れているのが状況である。現在は、九州大学病院歯周病科および高木病院歯科口腔外科において、非糖尿病者で計8名、糖尿病患者で計2名の歯肉検体採取が完了している。本年5月中旬より、新型コロナウイルスの指定が第5類に変更されるため、これによって従来の様々な制約が解除されて、重症化リスクのある糖尿病患者のリクルートもしやすくなることが期待され、これまでのような大きな研究活動の制限には見舞われずにスムーズに検体採取を行っていくことができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
九州大学病院歯周病科、高木病院歯科口腔外科での検体採取を先行して行い、必要な検体数がそろった時点でJDCへ検体を送付し、速やかに統合オミクス解析(メタボロミクス、プロテオミクス、RNA-sequence)を実施し、糖尿病関連歯周炎の病態解明とともに、治療介入標的となりうる候補因子の探索を、現地またはリモートでのディスカッションを頻回に行いながら推進する。治療標的としての可能性を持つ候補因子が抽出できたのちに、日本国内の業者に遺伝子改変マウス作成を委託する。このマウスを用いて、標的因子の遺伝子改変による糖尿病関連歯周炎病態進行への影響を解析する。具体的には、候補因子を歯肉血管内皮細胞や線維芽細胞などで細胞特異的な過剰発現・ノックアウトを行ったマウスを作成し、高脂肪食負荷やストレプトゾトシン処理をして糖尿病を誘発した状態で実験的歯周炎を惹起し、歯槽骨吸収や歯肉中の遺伝子発現変動をはじめとした歯周炎病態の解析を行う。それとともに、臨床研究で回収した歯肉検体や血液検体、唾液や歯肉溝浸出液を用いて、候補因子の濃度測定を行うなどして糖尿病関連歯周炎との関係性について検証していく。
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