研究課題/領域番号 |
20KK0217
|
研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
光武 範吏 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (50404215)
|
研究分担者 |
中沢 由華 名古屋大学, 環境医学研究所, 講師 (00533902)
伊東 正博 独立行政法人国立病院機構(長崎医療センター臨床研究センター), 臨床検査科, 病理医 (30184691)
酒匂 あやか 長崎大学, 病院(医学系), 医員 (60884187)
|
研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | 甲状腺癌 / 放射線 / チェルノブイリ |
研究開始時の研究の概要 |
放射線被ばく後における発癌は、被ばく線量によって確率的に生じるとされてきたが、近年、遺伝的背景の関与が示唆されている。しかし、発癌には生活習慣等の交絡因子の影響が大きく、被ばくした「集団」としてのリスクしか解析できなかった。そこで本研究では、放射線発癌であることが確実、交絡因子の影響が少ないチェルノブイリ小児甲状腺癌を対象として「個人」レベルでのリスクを明らかにする。これまでに収集した試料に加え、ウクライナ・ベラルーシにおいて、病理診断の再検証と、兄弟姉妹や散発性小児甲状腺癌試料を収集し、最新の網羅的ゲノム解析を高い精度・検出力のもとに行い、放射線発癌における感受性遺伝子を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、放射線誘発癌の発癌メカニズム、特に放射線によって発癌しやすい遺伝的背景(体質・個人差)を明らかにするために、 チェルノブイリ原発事故後の放射線誘発小児甲状腺癌症例に加え、比較対象となる追加症例を収集し、次世代ゲノム解析を行うものである。また、甲状腺癌の病理組織学的分類には様々な変更が加えられ、当時の病理診断を検証する必要がある。 世界的な新型コロナウイルス感染拡大のみならず、2021年度末よりロシアによるウクライナ侵攻のため、ベラルーシ等への渡航が禁止され、2022年度も全く新規試料の収集ができなかった。現地の共同研究者とはオンラインで連絡をとり、状況が許せばすぐに試料収集を再開できるよう準備をしている。しかし2022年度末の状況では、来年度も渡航や試料収集が可能となるか、全く予想できない。 2022年度末まで外国人研究員(客員教授)としてウクライナ内分泌代謝研究所のボグダノワ教授に研究を継続していただき、放射線誘発甲状腺癌の病理組織学的特徴や、他の臨床情報との関連については、被ばく後長期を経て発症した症例や微小乳頭癌等についても新しい解析結果を論文発表することができた。ベラルーシでの再調査も順調に進み、病理診断については目標を達成できたと考える。 次世代ゲノム解析は、すでに収集しており優先順位が高いものから順次シークエンシングを行った。2022年度は、主に癌症例を対象に解析を行った。標準的な全ゲノム解析のパイプラインを用い、構造異常については、より正確なコールができるよう、独自の追加解析を加えた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
病理学的解析には進捗が得られたものの、2022年度も、全く試料収集はできず、今後も困難な状況が続くことが予想される。
|
今後の研究の推進方策 |
ロシアのウクライナ侵攻が解決され、渡航や試料収集が可能となれば、速やかに活動を再開できるよう、準備を進める。それまでは、解析手法を工夫しつつ、既存試料のゲノムデータ取得を進める。
|