研究課題/領域番号 |
20KK0220
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
城戸 照彦 金沢大学, 保健学系, 客員教授 (20167373)
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研究分担者 |
中川 秀昭 金沢医科大学, 医学部, 客員教授 (00097437)
八重樫 洋 金沢大学, 附属病院, 助教 (00835275)
溝上 敦 金沢大学, 医学系, 教授 (50248580)
岡本 理恵 金沢大学, 保健学系, 准教授 (50303285)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | ダイオキシン / 二次性徴 / ステロイドホルモン / 低体重出生児 / ベトナム / 枯葉剤 / コホート 研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ベトナム戦争中に散布された枯葉剤に含まれたダイオキシン(DXN)による健康影響を明らかにするため、① 2008年より追跡中の小児(2020年には12歳になり、二次性徴の時期を迎える)、② 十分な対象者数を確保するため、①と同年齢の小児を新規に追加、③ DXN濃厚汚染地区と対照地区で2020~21年の全出生児(各地区約3,000人)の3つの小児コホートを設定し、数種類のステロイドホルモン(SH)や血中DXNを測定し、DXNの二次性徴への影響及び低体重出生児の出現率を比較し、さらに、その一部を抽出し、母親の母乳中DXNや母児のSHと低体重児との関連を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、ベトナム戦争中に散布された枯葉剤に含まれたダイオキシン(DXN)による健康影響を明らかにすることである。研究対象は2008年に出生した約100名(対象地区:Binh Dinh省Phu Cat県〔PC〕、対照地区:Ha Nam省Kim Bang地区〔KB〕、各50名)の児を、これまでに、2011年(3歳)、2013年(5歳)、2015年(7歳)、2017年(9歳)の5回追跡調査を実施した。 この間、DXNによるステロイドホルモン(SH)のかく乱(DHEAやテストステロンの低下)を確認した。しかし、Covid-19流行のため、2020年4月以降2年程、我々は訪越することが出来なかった。 幸い、2002年5月以降ベトナムではCovid-19の流行が収束し、対象の小児が二次性徴の時期を迎える(2022年;14歳)9-10月に現地調査が実施できた。両集団の80名よりSH測定のために血液が採取した。また、男児は精通時期や睾丸サイズ、女児は初潮時期等の二次性徴に関する身体計測調査を実施した。診察は、男児は金沢大学医学系泌尿器科溝上敦教授、女児はハノイ・セイントポール病院小児科医NGO THI THU HUONG医師の各専門医が担当した。 その結果、男児の身体計測値の2地区間の比較ではいずれの項目においても両群に有意な差は見られなかった。睾丸のサイズの比較では、2つの検査方法(超音波装置とオーヒドメーター)のいずれにおいても両群間に有意差は見られなかった。女児では頭囲においてPCの方がKBより有意に小さかったが、他の項目では両群間に有意差は見られなかった。頭囲の差は5歳、7歳、9歳の計測結果でも見られており、今回も同じ結果であった。 現在、ベトナム国家大学において、SH分析の予備解析中である。今後、SH測定の結果を待って、引き続き検討を加える予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Covid-19流行のため、2020年4月以降2年程我々は訪越することが出来なかった。このブランクの穴を埋めるのは決して容易ではない。本来は、この間に現地調査を実施し、当初の研究目的の3つの課題すべてを遂行する予定であった。2022年は幸いにして、追跡調査が実施できた。特に診察では専門医の参加協力が得られて、貴重なデータ収集ができたが、対象者の拡大は実施できなかった。また、低出生体重児については、Phu Cat県内の情報を入手中であるが、対照地区からの情報は入手しえていない。
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今後の研究の推進方策 |
追跡調査は対象者が高等学校を卒業する2024年までが実現可能な期間である。その後は、出身地を離れて大学に進学したり、都市部で就労する者が大半のため、追跡が困難になる。これまでは1年おきに追跡調査を実施し、2年毎の推移を観察してきた。現在、昨年に続いて、今年も2年連続で追跡調査を実施すべきか、1年研究期間を延長して、経年推移をより明確にみるべきが検討中である。 また、2022年に80名の対象者から採取した血液中のSHの測定は今年度前半にはベトナム国家大学ハノイ校にて分析を終了する予定である。その後、二次性徴との関連性を男児は既に計測済みの睾丸サイズとの比較検討を実施し、女児は身体計測調査や診察所見と検討する予定である。 低体重児の出生率については、Phu Cat県内の18コミューンに調査地区を限定し、2008年当時のコミューン別の母乳中DXN濃度と比較検討してみたい。
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