研究課題/領域番号 |
20KK0221
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 (2022-2023) 長崎大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
松井 三明 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (00285115)
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研究分担者 |
宮崎 あすか 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 助教 (10854573)
岩本 あづさ 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 国際医療協力局, 課長 (70543528)
コックス シャーロン 長崎大学, 熱帯医学・グローバルヘルス研究科, 教授 (80750140)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 小児低栄養 / 慢性腸管炎症 / 薬剤耐性 / 腸管慢性炎症 / 低栄養 / 抗菌薬 |
研究開始時の研究の概要 |
不適切な抗菌薬の使用は、薬剤耐性を引き起こし、腸内細菌叢を変化させ慢性の腸管炎症を増加させる。これらは低栄養の重要な要因であるが、その因果関係を低中所得国で調べた研究は少ない。 本研究では、カンボジアの農村部に確立したコホート研究の枠組みを利用して、月齢6~18カ月の子どもを定期的に追跡し、(1) 病歴と抗菌薬の使用、 (2) 便検体を用いて薬剤耐性の獲得状況と慢性腸内炎症の発生を確認する。これにより、子どもの抗菌薬使用と低栄養発生との関係を明らかにすることを目的とする。また、カンボジアにおいて、将来的な薬剤耐性菌の発生防止と、子どもの低栄養改善に対する政策提言に活用することができる。
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研究実績の概要 |
本研究は低中所得国における子どもの低栄養の発生を対象として、世界の動向とこれまでの研究成果を踏まえて以下3点の仮説をカンボジア農村部において検証することを目的として実施している。 1) 生後1歳まで投与される抗菌薬によって腸内細菌叢が変化し、腸管慢性炎症が増加する。これを、抗菌薬を投与された子どもから便を採取し、便に含まれる炎 症マーカーを測定することで確認する。 2) カンボジア農村部において薬剤耐性を獲得した細菌が存在し、それが子どもの下痢症発生と関連している。これを便に含まれる薬剤耐性遺伝子を同定し、 疾病エピソード発生との関連を検証することで確認する。3) 腸管慢性炎症と薬剤耐性菌の存在が、離乳期以降に子どもの低栄養を悪化させる要因である。 これらを生後から1歳までの子どもをコホートとして登録し、定期的に身体計測と便の採取を行うことで慢性炎症、薬剤耐性菌、その他の環境要因とを疫学的に 解析することで関連性を確認する。 新型コロナウイルス感染症の蔓延のために現地調査を行うことができない期間が長期化したため、当初に計画していたコンポンチャム州ストゥントレン地区での調査を断念し、カンボジア国立母子保健センターおよびシェムリアップ州保健局と協議を行い新たにチックレン地区でコホート形成とフォローアップを行うこととした。同地区では年間約200名の出生が見込まれるため、1年間の登録およびフォローアップで必要十分な検体数を確保できると考えている。 2023年6月より登録を開始し、2023年末までに99名の新生児登録を終え、経時的なフォローアップによって60例より便の採取を行っている。また経時的に登録は継続し2024年6月まで登録を継続する計画である。またカンボジア国全体での小児の低栄養の要因を確認することを目的としてスコーピングレビューを実施し、その成果を学術雑誌に公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度になりカンボジア政府の新型コロナウイルス感染症対策が緩和されたが、農村部において研究者である外国人、またカンボジア人であっても都市部から の調査員が入り込むことに対して、地域住民の抵抗感が大きかった。そのためにコホート形成に必要な新生児登録を適切に行うことができなかった。2023年度になり、一般住民に対するマスク着用義務も緩和され、実質的に新型コロナウイルス感染症蔓延以前の状況に戻りつつあり、調査地が変更されたことと相まって進捗が回復しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
上述したように、2023年度より調査地を変更し,より多くの新生児が登録できる場所でコホート登録 および定期的な追跡を開始した。さらに研究実施が円滑に進むよう、研究分担者(宮崎)が現地に2023年5月より同年度末まで駐在して研究を推進した。
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