研究課題/領域番号 |
20KK0227
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
藤野 英己 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (20278998)
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研究分担者 |
近藤 浩代 名古屋女子大学, 健康科学部, 准教授 (50333183)
植村 弥希子 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 助教 (10786601)
中西 亮介 神戸国際大学, リハビリテーション学部, 講師 (60807238)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | エクソソーム / 骨格筋細胞 / 超音波照射 / マクロファージ / 炎症抑制 / 再生 / 微小血管 / 脊髄損傷 / 微小循環 / 神経再生 / 骨格筋 |
研究開始時の研究の概要 |
再生医療は幹細胞を患部に移植をすることで完了するのではなく,移植後の微小環境が重要であり,再生を促進するための微小環境の管理が必須である.本研究では微小環境形成に関与すると考えられるエクソソームに焦点を絞り,骨格筋に対する物理的刺激で放出されるエクソソームがニューロン再生を促進させ脊髄損傷後の運動機能回復に有効であるかを検証するのが目的である.特に再生微小環境の形成には毛細血管ネットワークの退行予防と血管新生促進が不可欠であると考え,骨格筋から放出されエクソソームが脊髄の毛細血管網の構築に関与するかを検証し,再生医療における神経再生の管理のためのリハビリテーションを開発する.
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研究実績の概要 |
本研究では微小環境形成に関与すると考えられるエクソソームに焦点を絞り、骨格筋を刺激することで放出されるエクソソームがマクロファージを制御して、脊髄損傷後の運動機能回復に有効であるかを検証することが目的である。 培養骨格筋細胞への超音波照射はIRG1発現を増加させ、メタボロ解析によりイタコン酸の増加が確認された。さらにイタコン酸はNRF2発現を抑制し、IL-1β,IL-6, TNF-αの発現を抑制した。RNA-seq解析により、EV処理後のマクロファージではPI3K-Akt経路およびJAK-STAT経路の活性化が認められた。筋管EVに最も多く含まれるmiRNAはmiR-206-3pで、次いでmiR-378a-3p、miR-30d-5p、miR-21a-5pと続いた。これらの結果から超音波は、IRG1発現のアップレギュレーションを介してイタコン酸の産生を増加させると考えられ、マクロファージにおいて抗炎症効果を発揮した。この抗炎症作用には、PI3K-Akt経路とJAK-STAT経路が関与していることが示唆された。また、細胞外小胞内のmiRNAプロファイルからmiR-206-3p、miR-378a-3p、miR-30d-5p、miR-21a-5pがEVの抗炎症作用に関与している可能性が示唆された。本研究では、筋管由来EVがIRG1-イタコン酸経路を活性化することによりマクロファージの炎症反応を抑制することを明らかにした。 尚、国際共同研究先に出向いて実験は新型コロナウィルス感染症の影響を受けて、実現しなかったが、電子メールやwebにより打ち合わせを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症の影響を受けて,国際共同研究先に出向いて実験が順調に進まなかった.また,脊髄培養について,いくつかの問題が出てきたために摘出や培養法の改善を要した.骨格筋細胞からのエクソソームの放出や炎症制御効果については検証ができたことから,再生を促す幹細胞について検証を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
骨格筋細胞への超音波照射でエクソソーム放出が促進されることが確認され,このエクソソームがマクロファージを制御し,抗炎症効果があることを確認できた.また,再生を促進するために幹細胞由来のエクソソームについても検証を進めている.今後は骨格筋から放出されるエクソソームや直接受傷部位への超音波照射を利用した脊髄損傷の再生について検証していく計画であり,脊髄損傷モデルの確立も必要不可欠であるため,国際共同研究先と協力して,実施していく計画である.
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