研究課題/領域番号 |
20KK0239
|
研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
郭 新宇 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (10322273)
|
研究分担者 |
吉江 直樹 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 講師 (50374640)
後藤 哲智 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 特定研究員 (90825689)
|
研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 残留性有機汚染物質 / 黄海 / 生物ポンプ / 底部冷水 / 懸濁粒子 / 底部冷水塊 / 数値モデル / モデリング研究 / 黄海冷水塊 / 植物プランクトン / 吸着・脱着過程 / 粒子沈降 / 粒子分解 / 濃度上昇 |
研究開始時の研究の概要 |
成層が発達する夏季に、海底付近の水温が周辺より低い分布が沿岸域でしばしば見られる。このような水温の低い水塊は底部冷水塊と呼ばれる。残留性有機汚染物質(POPs)は大気や河川水を介して沿岸域へ輸送され、海洋環境中では粒子態・溶存態として存在する。粒子態のPOPsは底部冷水塊に沈降した後、その一部は海水に再分配されることから水塊中のPOPs濃度は夏季に上昇傾向を示すものと推察される。本研究課題では、世界有数の底部冷水塊形成域である黄海を対象にフィールド調査を実施し、化学分析と数理モデル解析双方のアプローチから、上記の作業仮説の検証とメカニズムの解明を試みる。
|
研究実績の概要 |
今年度は、これまでに得られた成果の論文化と並行して、懸濁粒子及びPOPsのモデリングを進展させた。本課題で着眼した主要3海域(黄海・渤海・東シナ海)における懸濁粒子の挙動を評価するため、河川からの流入、堆積物への沈降、堆積物の再懸濁、そして外洋への拡散等を全て考慮した海水流動・懸濁粒子モデルの改良に取り組み、懸濁粒子の時空間変動を表現できる新たなモデルの構築に成功した。またモデル解析と衛星観測で得られたデータを統合・比較することにより、黄海・渤海・東シナ海における懸濁粒子の空間分布と季節変化を概ね再現できることを確認した。 懸濁粒子の計算モジュールを流動・生態系・POPsモデルに導入し、懸濁粒子の存在がPOPs濃度の時空間分布に与える影響を検証した。具体的には、観測データを既に取得できているデカブロモジフェニルエーテル(BDE-209)を対象に、実測値と数値モデルが概ね整合する境界条件の設定とパラメーターチューニングを重ねた後、得られたモデル結果の詳細な解析を行った。その結果、冬季における懸濁粒子濃度の上昇と海水温の低下に伴い、粒子態BDE-209濃度は増加し溶存態BDE-209濃度は減少することが示唆された。また懸濁粒子濃度の高い海域では、溶存態BDE-209濃度が相対的に低減する可能性も示された。以上のことから、夏季に海況が穏やかになり懸濁粒子濃度が低下した場合、懸濁粒子が溶存態BDE-209の濃度分布に及ぼす影響は軽減されるものと考えられる。 底部冷水塊が及ぼすPOPsへの影響を黄海と瀬戸内海で比較するため、2023年10月に長崎丸の調査航海(伊予灘~豊後水道)で植物プランクトン及び堆積物のサンプリングを行った。また伊予灘の植物プランクトンを対象とした定点観測では、POPsの残留濃度に季節変動が認められたことから、その要因解析と海域間比較を現在進めているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
海外出張の制限より、海外の観測データとモデリングの融合は遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題の成果を最大限にするために、海外共同研究者との交流を積極的に行うとともに、ほかの研究実績を持つ海外研究者との交流も展開する。特にPOPsに密に関連する炭素循環とそのモデリングに関連する共同研究を推進したいと思っている。
|