研究課題/領域番号 |
20KK0240
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
武田 重信 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (20334328)
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研究分担者 |
近藤 能子 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 准教授 (40722492)
堀井 幸子 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(横浜), 研究員 (50767879)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2020年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
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キーワード | 海洋酸性化 / 植物プランクトン / 鉄 / 有機配位子 / 北太平洋 / 海洋科学 / 東部北太平洋 |
研究開始時の研究の概要 |
海洋生態系を支える植物プランクトンの増殖に及ぼす海洋酸性化の影響に関して、必須微量栄養素である鉄の植物プランクトンによる利用し易さの変化が、海域によってどのように違うのかを明らかにすることを目的とする。そのため、米国研究者との国際共同研究航海により、鉄が不足している東部北太平洋の亜寒帯域、亜熱帯域、沿岸域において表層海水を用いた船上培養実験等を実施し、酸性化が植物プランクトンの鉄利用に及ぼす影響と、それに伴うプランクトン群集の応答を解析する。
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研究成果の概要 |
日米の国際共同研究航海を2022年6-7月に実施して、海洋酸性化が植物プランクトン群集の鉄利用に及ぼす影響を、鉄が生物生産の主な制御要因となっている東部北太平洋の亜寒帯域、亜熱帯循環域、沿岸湧昇域において調べた。pHおよび鉄濃度を変化させる植物プランクトン群集の船上培養実験などにより、海洋酸性化による植物プランクトンの増殖応答が東部北太平洋の沿岸域と沖合域で異なることが明らかになり、海水中での鉄の化学的な存在形態を支配する代表的な鉄有機配位子の海域による組成の違いが、海洋酸性化に対する植物プランクトン群集の応答を左右し得ることを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、有機配位子と結合した鉄のプランクトン群集による利用の変化について海域別の特徴が明らかになり、海水中に存在する主な鉄有機配位子の性質の違いが、異なる生物応答を導くという新たなメカニズムの仮説が検証された。このことから、海洋酸性化が進行したときの鉄の海洋環境中における動態と炭素循環の関係性を考える上で、各海域における鉄有機配位子の濃度分布や組成を把握することの重要性が示された。 今後は、このプロセスを海洋の生物物理モデルに組み込むことで、将来の地球温暖化・海洋酸性化による生態系および物質循環への影響予測に関する精度の向上に大きく貢献することが期待される。
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