研究課題/領域番号 |
20KK0242
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
加藤 亮 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10302332)
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研究分担者 |
大倉 芙美 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 農村開発領域, 任期付研究員 (10880297)
橋本 禅 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (20462492)
乃田 啓吾 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (60646371)
木村 匡臣 近畿大学, 農学部, 講師 (80725664)
堀切 友紀子 東京農工大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (90647645)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2020年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
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キーワード | 水環境 / 生態系サービス / グリーンインフラ / 土地利用計画 / 水利用 / InVEST / エージェントベースモデル / 参加型水環境管理 / 環境教育 |
研究開始時の研究の概要 |
水環境の保全は都市環境の持続性、快適性の向上につながる。本研究は、住民や行政が水環境の価値をより深く認識するため、環境汚濁が進むラオス国首都ビエンチャン市を例にとり、モニタリングによるデータ、水質の流出メカニズムに基づく、地域の持続的な水環境保全システムを構築する。特に、水環境の汚濁者でもあり、受益者でもある住民の理解を得るために、InVESTと呼ばれる、環境の可視化モデルを活用して、各自の行動がどのように水環境に影響を与えるかについて認識できるシステムを開発し、水環境保全に役立てる。
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研究実績の概要 |
本年度は,ラオスビエンチャン市の土地利用図の入手および衛星画像データを入手し,2009年から2020年までの土地利用変化の解析を実施した。特に,衛星データから水田域の分離を行うアルゴリズムを開発し,水田面積の変化を年度ごとに明らかにすることができた。検証としては,ラオス国政府が作成した2009年と2020年の土地利用図との比較から,精度よく再現することができた。水田面積は全体としては減少傾向にあるが,ビエンチャン東部の湿地帯では,水田開発が進んでおり,空間的な配置が変化していることが示唆された。 また,グリーンインフラとして期待されるリサイクル型炭素繊維を活用した試験を,現地に適用する前に,日本国内での室内試験(東京農工大)とフィールド試験(千葉県印旛沼の水田排水路)を行った。結果として,フィールド試験ではリンの吸着が高く,炭素繊維の回収後に,施肥として活用しうる可能性が示唆された。一方,窒素については,回収量は高くなく今後の環境条件や設置条件を見直す必要がある。 ラオス国内の現地の聞き取り調査からは,環境意識は都市周辺では比較的高いものの農家側の水管理の意識は取水行動に限定されており,生産性向上のために,より大量の安定した取水施設の要望が強い。灌漑には河川からポンプを用いて取水するパターンが多く,エネルギー価格によって生産コストが変動することから,安定的な生産が難しくなっており,環境保全以上に水資源の安定供給を求める声が大きい。今後の水環境保全を通じて,水質の良い水田排水を再利用することは,農家の水需要の緩和に貢献する可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナの制約があったが,衛星データを入手することができたため,首都ビエンチャン市の都市開発による影響を定量的に表すことができた。 また,水環境保全対策についても,国内の試験を通じて,目途を立てることができた。最終年度に向け,実装化への準備を行うことができる。
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今後の研究の推進方策 |
過去の土地利用の変化を解析することができたため,今後の生態系サービス保全のための空間的な,リサイクル炭素繊維を用いた水質浄化施設の配置計画を検討することができる。また,水質浄化施設自体はメンテナンスフリーで稼働することを前提としており,窒素やリンの肥料成分の回収を目指している。本年度は,リサイクル炭素繊維の資材の成分や,設置条件について検討を重ねることで,回収率の向上を目指す。また,現地での設置については,農家や共同研究者への説明を通じて,本年度後半に実施することを検討したい。
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