研究課題
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
米国国立癌研究所のMurali博士らは独自のパルス型電子スピン共鳴画像装置を開発し、腫瘍組織内に低酸素と常酸素の時間的循環の存在を世界で初めて証明し新たな診断・治療ターゲットを創出した。また超偏極技術を早期に導入し、癌特有のエネルギー代謝を高感度に可視化する計測技術・検出器・画像処理アルゴリズムの開発研究を進めている。本国際共同研究では若手研究者の派遣を通じ、酸素イメージング装置開発の推進・アルゴリズムの改良、超偏極技術における画像処理技術、計測ノウハウ習得、臨床応用へ向けたトランスレーショナルリサーチを加速し、癌診療において酸素・エネルギー代謝に基づく治療効果の早期診断法へ展開する。
本国際共同研究では、米国国立癌研究所(NCI/NIH)のMurali博士らのグループと、電子と核スピンの2つの量子を用いた量子技術である超偏極MRIについての研究を実施することを目的として研究を推進してきた。特に、低温超偏極装置を用いたdissolution DNP-MRI/MRSでは、13Cピルビン酸を超偏極プローブとするエネルギー代謝イメージングにおいて、MRIやMRSの感度が10000倍以上増幅することを確認し、米国NIHとの共同研究において、一定濃度のガドリニウム造影剤の添加が超偏極状態を早く惹起し、また偏極率も高くなることを明らかにした。また生体超偏極MRI(in vivo DNP-MRI)においては、DNP造影剤であるニトロキシルラジカル1種のTempolがGSHの共存在下においてX線の線量依存的にラジカルを消失することを明らかにし、本システムを用いることでX線線量の2次元の分布の定量的可視化が可能となることが明らかとなった。これらは国際共同研究の成果として現在論文を投稿中である。また本国際共同研究を通じて、若手の大学院生がNIHとの研究交流を深め、博士取得後に博士研究員(ポスドク)として留学することとなり、より強固に国際共同研究を推進できる運びとなった。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 4件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 6件、 招待講演 4件)
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