研究課題/領域番号 |
20KK0259
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分60100:計算科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
椋木 大地 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 研究員 (90742289)
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研究期間 (年度) |
2022 – 2023
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
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キーワード | 計算精度 / 精度検証 / 行列計算 / 浮動小数点演算 / 高性能計算 |
研究開始時の研究の概要 |
浮動小数点演算による数値計算は丸め誤差の影響で計算精度が低下するとともに,計算結果が何桁正しいのか分からない.また並列計算等で計算順序が定まらない場合,再現性が損なわれる.大規模計算における誤差蓄積や高性能計算機における低精度演算器の普及に対して,丸め誤差に起因する諸問題の解決が求められる.本研究では基本的な線形計算を対象に,計算結果の正しさ(精度)がわかる高性能・高精度計算法を開発する.正しさの検証が可能となることで再現性の要求にも応える.超並列・ヘテロジニアス構成・低精度演算器搭載を特徴とする次世代計算機環境に適した技術開発を行い,大規模数値計算における高信頼化と高性能化の両立を試みる.
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研究実績の概要 |
2023年度は昨年度から引き続き,ソルボンヌ大側で開発されたadaptive precision SpMV(疎行列ベクトル積における理論誤差解析に基づく適応的な精度最適化の手法)に,我々が開発した高速削減精度メモリアクセッサー(RpFp)を組み合わせることによる高速化を検討した.昨年度から継続していたSpMVにおけるRpFpの適用に関して,国際学会(ICIAM2023)における口頭発表,国際学会(MCSoC2023)における査読付き論文投稿(採択され2023年12月発表予定)を行った.さらに2023年9-10月に仏ソルボンヌ大に渡航し,RpFpによるadaptive precision SpMVの高速化を実証し,結果は仏のプレプリントサーバHALにおいて出版した(hal-04261073).仏滞在期間中にはCADNAによる精度検証付きBLAS/LAPACKの開発に関して,C++テンプレートBLAS実装を活用した実装法に関する議論,またペルピニャン大学David Defour教授を訪問し混合精度演算のための高性能メモリアクセッサーの実装に関する議論とプロトタイプ実装も行われた. また既課題からの発展として,東京都市大学相原研輔准教授らとの共同研究により,DotKスキームの応用による高精度かつ高速な混合精度疎行列反復法ソルバーに関する研究を実施した.また芝浦工業大学尾崎克久教授らとの共同研究により尾崎スキームの細粒度な精度調整に関する研究を実施した.これらは現在論文投稿中(査読中)である. 本課題は研究代表者の退職により2023年10月末を持って廃止となった.1年半の全期間での主な成果は上記2023年中に発表した内容が主であり,幾つかの研究については成果創出に結びつく前に中断となったが,本課題による議論や得られた知見は共同研究者に引き継がれ今後発展することが期待される.
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