かつてシルクロードの東西交易路の要衝であったクチャ(亀茲)国では、莫大な数の仏教石窟寺院が開鑿された。石窟内部を彩る壁画は、当時の西域の仏教文化や歴史的背景を知るための情報の宝庫である。クチャの壁画は20世紀初頭の各国探検隊の活動を通して世界中に散在しているが、ライプツィヒ大学/ザクセン州立アカデミー「西域北道・クチャの仏教石窟壁画学術研究センター」では、世界各地に収蔵された壁画片と現地に残る未出版の壁画の写真の全てを集成した画像データベースを構築中である。本研究ではライプツィヒのデータベースを活用した壁画図像の研究を行うことにより、六世紀頃の西域仏教文化の歴史的背景を解き明かしたい。
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