近年、史料公開制度の整備に伴い、戦後国際秩序史にかかる研究が活発になされているが、欧州秩序については安全保障・政治経済・文化的視座を用いた複層的研究が蓄積されているのに比して、日本を取り巻いた地域秩序については、日米関係史を中心に同様の視座からの研究蓄積が進みつつあるものの、米国以外の主体の役割を論究するものや、とくにその広報領域における影響を考察するものについては蓄積がない。対して本研究は、占領期から1970年代に至るまでの英米(特に英国)の対日広報政策の内実を歴史実証的に解明することで、戦後日本の西側協調体制を下支えした両国の広報活動の全体像や日本側の対応を明らかにすることを目的とする。
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