研究課題/領域番号 |
20KK0300
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
高柳 妙子 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究センター), その他(招聘研究員) (30444706)
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研究期間 (年度) |
2021 – 2024
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
13,910千円 (直接経費: 10,700千円、間接経費: 3,210千円)
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キーワード | タイの就学前教育 / 先住民の子どもたち / 保護者の幼稚園に対する価値観 / 多文化多言語社会 / 母語教育 / 幼児期におけるジェンダー構築 / コロナ禍における幼稚園教育の実状 / 人類学調査 / 先住民の子ども / 子ども観 / 多文化・多言語社会 / ジェンダー構築過程 / ESD / 先住民の子どもたちの生活文化 / 就学前教育 / アジア・タイ / 先住民族の生活文化 / 子ども像 / 言語問題 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、タイ北部の少数民族の多文化・多言語環境に育つ子どもたちを対象とした幼稚園教育の現状と保護者の幼稚園教育にたいする価値観と課題を明らかにすることである。幼稚園教育の研究は、質問紙調査の結果を計量的に分析するものが多い。本研究は、タイ北部の多言語社会の中で、幼稚園での参与観察と教育者および保護者へのインタビュー調査から、幼稚園の教育内容、子どもの生活文化・母語の実態を調査し、多言語・多文化環境に育つ子どもたちの発達を据えた幼稚園教育の提供に対して改善点を提案する。タイ・チェンマイ大学イワトンワナ博士とフィールドワークを行い、タイと日本で共同発表するとともに英文論文として公表する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、チェンマイ大学社会学部イワトンワナ博士と共同でフィールドワークを実施して、結果を分析して、タイ北部の少数民族の多文化・多言語環境に育つ子どもたちに対する幼稚園教育の現状と保護者の幼稚園教育にたいする価値観と課題を明らかにすることである。2023年度は、8月に補完調査を実施し、調査結果を分析し、韓国におけるアジア学会、広島におけるアジア比較教育学会及びアメリカ国際比較教育学会において協働で成果を発表した。 第一次調査として、2022年9月から2023年3月にかけて、ラーチャブリー、チェンマイ、メーホンソンの農村部に住む、モン、カチン、カレン、シャン、ラフなど異なる民族の17人の母親と3人の教師にインタビューを行った。男の子と女の子は、おもちゃやテーブル、すべての活動のためのスペースを共有していた。教師は男女の性別に関係なく平等に扱っていると表明したが、親たちは幼い子どもたちにジェンダーの社会規範を押し付けていた。家父長制は、これらの調査地の他の民族グループと同様の役割を果たしていることがわかった。女児は男児に比べ、言語の使用、服装、活動において制限が多く、例えば、女児が掃除などの家事を習い始めるのに対し、男児は父親と一緒に働きに出るように推奨されていた。モンの母親は、子育ての仕方において、民族の中で最も家父長的な状況にあることがわかった。第二に、キリスト教は仏教に比べ、子育ての男女平等性が高いこと、また、娘が一人しかいないモンの家庭は、仏教からキリスト教に改宗し、家督相続を廃止していることが明らかになった。この調査結果は、民族文化や伝統に起因するスティグマが、両親の子育てや教育に影響を与えている可能性を示唆していると言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今までに収集した調査結果を分析し、学会発表、論文作成中であり、おおむね問題なく進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に国際学会において発表した調査結果を基に、海外のジャーナルに投稿するための論文を3本執筆中である。また、チェンマイ大学・イワトンワナ博士は、ジェンダー論の講義で調査結果を活かしたシラバス改定を行っていく。高柳も大学の講義「対人コミュニケーション(家族)」及び「多文化コミュニケーション」において調査結果を活かした資料作成を継続し、国内における知見構築と共有に努めていく。
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