研究課題
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
本研究では、「地球規模で温暖化が生じている1980年代以降」と、「北極圏のみ温暖化が起きていた20世紀前半」の2つの期間に着目して、北極圏の超高層大気の長期変動及び寒冷化トレンドにおける両者の相違点を解明することを目的とする。そのために、超高層大気の質量密度の新たな計測手法の検証及び精度向上と、北極域電離圏の観測初期(1945年以前)の紙媒体データを含む約86年間の統一データベースの整備を、UiT ノルウェー北極大学にて国際共同で実施する。それにより、約86年間の世界最長となる北極域電離圏電子密度分布の長期変動・トレンドを精度よく導出し、地球温暖化を含む気候変動のプロセス理解に貢献する。
本国際共同研究では、主たる外国機関であるUiTノルウェー北極大学(トロムソ)の運用するトロムソ・イオノゾンデによる電子密度分布の推定精度を向上することにより、過去約86年間の世界最長の電離圏電子密度分布の長期変動・トレンドを導出することを目的としている。令和4年度には、1981年以降のトロムソイオノゾンデデータを基に、トロムソEISCATレーダーデータの電子密度の較正を令和3年度に引き続き実施した。また、コロナウイルス感染拡大防止のため、令和4年度にはノルウェー・トロムソへの渡航が短期間に留まった。そのことも踏まえ、ノルウェー北極大学の研究者と共に開催するセミナー等を通して、共同研究実施のための情報共有を引き続き実施した。
3: やや遅れている
コロナウイルス感染拡大防止のために、UiTノルウェー北極大学(トロムソ)への渡航は2022年8-9月の短期間(合計約1週間)に留まり、今年度も長期渡航は不可能であった。そのため、1981年以前のトロムソイオノゾンデデータを整備するには至っていない。2023年3月までのEISCAT観測データを追加整備すると共に、1981年以降のイオノゾンデデータを用いた解析を引き続き実施している状況である。
令和5年度には、UiTノルウェー北極大学(トロムソ)へ渡航及び長期間滞在し、トロムソ・イオノゾンデによる1935年以降の世界最長の電離圏観測データのデジタル・数値データ化の作業に参加する。さらに、1981年以降のトロムソEISCATレーダーデータから得られる電子密度の正確な高度分布とトロムソ・イオノゾンデ観測データを詳細比較することにより、イオノゾンデから導出する電子密度分布の推定精度を向上する。また、本研究計画を令和6年度まで1年間を延長して、研究を推進する予定である。
すべて 2023 2022 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
Annales Geophysicae
巻: 40 号: 1 ページ: 1-10
10.5194/angeo-40-1-2022
Journal of Geophysical Research: Space Physics
巻: 127 号: 6
10.1029/2021ja030062
巻: 127 号: 4
10.1029/2021ja029880
巻: 126 号: 5
10.1029/2020ja028951
巻: 126 号: 7
10.1029/2021ja029572