研究課題/領域番号 |
20KK0323
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
森本 勝大 富山大学, 学術研究部工学系, 准教授 (90717290)
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研究期間 (年度) |
2021 – 2023
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
14,040千円 (直接経費: 10,800千円、間接経費: 3,240千円)
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キーワード | 有機EL / Roll-to-Roll / フレキシブル / 透明電極 / ダイポール |
研究開始時の研究の概要 |
近年、有機ELディスプレイはスマートフォンやテレビに採用されており、幅広く応用されている。基研究課題では駆動電圧に影響を与える電流注入効率の改善に取り組んできた。本共同研究課題では、基研究課題を実用可能なフレキシブル有機ELデバイスへと発展させることを目的とする。共同研究先の強みであるフレキシブルデバイスのプロセス開発技術や、長期間でのデバイス劣化抑制技術に関する知見を融合することで、実装可能なフレキシブル有機ELデバイスのデバイス性能向上と封止技術適応に伴う長期安定性向上について取り組む。
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研究実績の概要 |
本研究では基課題で研究した有機ELデバイスをフレキシブルデバイスへ適用することを目的としている。本年度は従来の固体基板をフレキシブル性に富む、プラスチックフィルムへと変更し、デバイス作製およびデバイス性能評価を実施した。リソグラフィーなどの技術を用いることで、従来からフィルム上の透明電極加工がなされてきたが、本研究ではRtR適用可能な勘弁な手法による加工を検討した。具体的にはレーザー加工を用いて、フィルム上の透明電極を任意のサイズへ加工することに挑戦したが、加工に伴い基板そのものへ損傷を与える事や、作製した電極表面の改質などがデバイス劣化に影響を与えてしまった。 そこで、一般的に用いられるITO電極ではなく、誘電体多層膜技術を応用した誘電体/金属/誘電体(DMD)電極を利用した。DMD膜厚構成はシミュレーションにより最適膜厚を算出し、フィルム基板上へDMD電極を作製することで、有機ELの透明電極とした。また、デバイス発光色に対応し、DMD層構成を検討することで可視光だけでなく近赤外発光に対応可能な透明電極の作製に成功した。 次に、RtR適用やフレキシブル性向上のため、誘電体として従来から用いられる酸化物だけでなく、有機ポリマー材料へ変更を検討した。ポリマー材料を用いた場合でも十分な透明性とデバイス性能を担保することができた。一方で、当該材料は水分に弱く梅雨時などの湿度にデバイス安定性が大きく依存することが判明した。そこで、次年度は安定性向上に向けた取り組みを実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年4月より海外渡航を予定していたが、先方の組織変更やウクライナ情勢不安を理由に受入れを断念されるに至った。その後、渡航先を再調整し変更届を提出。 渡航日程は2023年3月から1年間、カッセル大学にてフレキシブル化に寄与する研究を実施予定。渡航に関しては予定変更があったが、国内での研究を代わりに進捗させたため研究全体に対する遅れはない。 国内研究では概要で述べたとおり、フィルム化や電極構造の最適化などに進展があった。並行して、カッセル大学との共同研究に関しても研究計画を詰める事ができたため、次年度以降に申請者自身が渡航することで大きく研究を進捗させる。
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今後の研究の推進方策 |
国内研究でフレキシブル化可能な有機ポリマー材料を、DMD電極に使用した。しかし、当該材料は無機酸化物に比べデバイス安定性に弱く、安定性が課題となった。次年度は安定性向上のため、封止技術の導入や基課題を応用した低電圧デバイスの利用を予定している。 次年度は申請者が海外渡航するため、国内研究に関しては研究支援員などを通じて研究マネジメントを継続しながら進捗する。一方で、申請者本人によるカッセル大でのフレキシブル化に関する研究を進展させる。
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