研究課題/領域番号 |
20KK0333
|
研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
|
研究機関 | 東京大学 (2022-2023) 早稲田大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
欠畑 岳 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員 (80824606)
|
研究期間 (年度) |
2021 – 2024
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
13,910千円 (直接経費: 10,700千円、間接経費: 3,210千円)
|
キーワード | ユースアスリート / スプリント走 / 神経制御 / 大腿筋活動 / トレーニング / 筋活動 / 短距離走 |
研究開始時の研究の概要 |
一流アスリートは、全力疾走中の両脚の神経制御の能力に優れている。しかし、その神経制御の能力は習熟度が既に高い彼らに特有か?トレーニングで改善できる能力か?疑問が生じる。そこで、本研究はNational Youth Sports Institute(シンガポール)を拠点に、走能力が発達過程にあるユースアスリートを対象に、「トレーニングで神経制御の特徴の変化が生じ、スプリント能力の向上に貢献するか否か」を解明する。
|
研究実績の概要 |
走運動は最も基本的かつ重要な運動である。本国際共同研究の基課題(若手研究:スプリント時の神経制御の特徴の解明)では、オリンピック選手を含むシニアアスリートを対象に、スプリント(全力疾走)には①主動筋/拮抗筋のスムーズな切り換え、②左右両脚の協調性という神経制御能力が重要であることを解明してきた。しかし、その能力は習熟度が既に高い彼らに特有か?あるいはトレーニングで改善できる能力か?疑問が生じる。仮にトレーニングで改善が可能なら、神経制御の特徴に基づくスプリント指導方法の開発に繋がるだろう。そこで、本国際共同研究は、走能力が発達過程にあるユースアスリートを対象に、「トレーニングで神経制御の特徴は変化が生じ、スプリント能力の向上に貢献するか否か」を解明する。そして、スプリント指導へ神経制御という新しい観点から科学的根拠を提示することを目指す。 本年度は、渡航先外国機関(National Youth Sports Institute, Singapore)における約1年間の本渡航を完了した(23年2月―24年2月)。NYSIと連携しているSingapore Sports School(スポーツスクール)のトラック&フィールドクラブのユースアスリート(13-18歳)を対象に、最高速度によるスプリント中、異なる速度条件による走運動中、スプリントトレーニング中の下肢筋活動についてそれぞれ取得した。その結果、年齢の異なるユースアスリート間における大腿部の筋活動の制御パターンは異なることが示された。成長に伴う骨格筋・形態的な発育・発達によるパフォーマンスの向上という要因のほかに、長期的かつ特異的なスプリントトレーニングによって中枢神経系に適応が生じ、このことがスプリント走のパフォーマンスの向上に寄与している可能性が示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、新型コロナウイルスの影響で約2年遅らせた本渡航を実現することができ、渡航先外国機関(National Youth Sports Institute, Singapore)における約1年間の滞在中にユースアスリートにおけるスプリント中の筋活動のデータ取得を完了させることができた。また当初は予定していなかった、南洋理工大学(Nanyang Technological University)のバイオメカニクス研究室ともコネクションを開拓することができ、スプリント走におけるトレーニング戦略(Priming Strategy)に関するレビュー論文をNYSIのスタッフと共にまとめることができた。また、政府のスポーツ研究機関であるSingapore Sport Institute (SSI)や、関連のスポーツスクール(Singapore Sports School)の研究者、指導者とのネットワークも構築することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
日本で取得済みのシニアアスリートとのデータと対応させ、ユースアスリートに特異的な神経制御のパターンを明らかにすることで、スプリントトレーニングによる神経適応について解明し、神経制御の特徴に基づくスプリント指導方法を提言する。
|