研究課題/領域番号 |
20KK0345
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38040:生物有機化学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
榎本 賢 東北大学, 農学研究科, 准教授 (90546342)
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研究期間 (年度) |
2021 – 2023
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
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キーワード | leotiomycene / クォラムセンシング阻害 / クォラムセンシング阻害物質 / クォラムセンシング / 全合成 |
研究開始時の研究の概要 |
薬剤耐性菌への対処は人類にとって喫緊の課題となっている。薬剤耐性菌が発生・拡大する原因の一つとして,特異性の低い抗菌剤によって様々な細菌に選択圧がかかることが挙げられる。クォラムセンシング(QS)阻害物質は,高特異的に細菌の病原因子生産を阻害するだけでなく,基本的に殺菌作用を示さないので,細菌が薬剤の選択圧にさらされることがない。このような特徴により,QS阻害物質は薬剤耐性菌発生リスクの低い抗菌剤の候補化合物になると期待されている。本申請では,天然由来の強力なQS阻害物質の効率的な合成法を開発する。さらに,この天然物の構造を改変することでより強力かつ実用的な抗菌剤の創製を目指す。
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研究実績の概要 |
薬剤耐性菌への対処は人類にとって喫緊の課題となっている。薬剤耐性菌が発生・拡大する原因の一つとして,特異性の低い抗菌剤によって様々な細菌に選択圧がかかることが挙げられる。クォラムセンシング(QS)阻害物質は,高特異的に細菌の病原因子生産やバイオフィルム形成を阻害するだけでなく,基本的に殺菌作用を示さないので,細菌が薬剤の選択圧にさらされることがない。このような特徴により,QS阻害物質は薬剤耐性菌発生リスクの低い抗菌剤のリード化合物になると期待されている。また近年,QS阻害物質はその高い特異性によって,ドラッグデリバリー物質としても関心を集めている。本課題では天然由来の強力なQS 阻害物質であるleotiomycene Aの効率的な合成法を開発する。さらにleotiomycene Aをリード化合物とした高特異的抗菌剤の創出に向けて,構造活性相関研究を展開する。 昨年度までに,Buchwaldビアリールエーテル合成,プロリノール触媒を用いた分子内不斉Michael反応を利用して,leotiomycene Aの基本骨格の構築に成功していたが,環化の際の位置選択性に問題を残していた。そこで,本年度は辻ーTrost型反応を利用した環化を検討し,望む環化体を得ることに成功している。今後は,鍵反応の不斉化を行い,共同研究先で見出した分子変換法も活用しながら,leotiomycene Aの初の全合成達成を目指す。 また,QS 阻害天然物の合成研究の一環として,糸状菌から単離されたノルセスキテルペンaculene類の合成研究を展開し,aculene D及びBの全合成を達成しEur. J. Org. Chem. にて発表した。本成果は,Chemistry Europeが発行する雑誌ChemistryViewsにて取り上げられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していた不斉マイケル反応にて環化の位置選択性に問題があることが判明したために,鍵反応を変更せざるを得なくなった。種々検討の結果,別法により環化することに成功しているものの,肝心の不斉収率については未だ検討していないため,早急に検討する必要があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
不斉環化反応の成否を早急に検討する。困難な場合は,有機ホウ素試薬を用いたオルトキノンメチドへの不斉付加反応を利用して問題となる不斉点の構築を試みる。その後は,共同研究先で見出した分子変換法も活用しながら,leotiomycene Aの初の全合成達成を目指す。
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