研究課題/領域番号 |
20KK0349
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
土岐 和多瑠 名古屋大学, 生命農学研究科, 講師 (50611406)
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研究期間 (年度) |
2021 – 2023
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
14,040千円 (直接経費: 10,800千円、間接経費: 3,240千円)
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キーワード | 消化共生 / 木材 / 材食性昆虫 / 酵母 / 垂直伝播 |
研究開始時の研究の概要 |
材食性昆虫の多くは微生物と共生し、微生物の助けを借りて消化困難な木材を餌とすると考えられている。ハナカミキリは幼虫が材食性で、キシロース資化性酵母と共生する。基課題では、中部地方産ハナカミキリを網羅的に調べ、温帯に成立するハナカミキリ-菌共生系を明らかにした。本国際共同研究では、これを拡張し、異なる気候条件の森林においてもこの共生パターンが普遍的に見られるかを検証し、共生系の成立プロセスと気候条件の関係を明らかにする。
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研究実績の概要 |
材食性昆虫の多くは微生物と共生し、微生物の助けを借りて消化困難な木材を餌とすると考えられる。ハナカミキリは幼虫が材食性で、キシロース資化性酵母と共生する。基課題では、中部地方産ハナカミキリを網羅的に調べ、温帯に成立するハナカミキリ-菌共生系を明らかにした。本国際共同研究では、これを拡張し、異なる気候条件の森林においてもこの共生パターンが普遍的に見られるかを検証し、共生系の成立プロセスと気候条件の関係を明らかにする。 今年度も、海外での調査が不可能であった。そのため、中部地方と北海道におけるハナカミキリ-菌共生系の多様性の解明度の充実を図ることとした。昨年度と同様に、その他の材利用性昆虫についても共生微生物と機能を調べた。 北海道では、中部地方と比べて、ハナカミキリの種によって共生菌の種が共通する場合と異なる場合、それら両方を保有する場合が認められ、共生菌の転換や重複といった共生関係のダイナミックな変化が示唆された。さらに、酵母の種によって、宿主ハナカミキリとの種特異性が異なることが示唆された。 ヨツスジハナカミキリについて、成虫、幼虫、卵を調べ、酵母の一種と共生することを解明、報告した。共生酵母はキシラン、キシロース、セロビオース資化性を示し、幼虫による材の消化を補助することが示唆された。マイカンギアの立体構造をマイクロCTにより解明した。 ツマグロツツシンクイについて、日本産の別種や海外産の種と共生酵母叢を比較し、報告した。 ネブトクワガタについて、成虫のマイカンギアと消化管、幼虫の坑道、成虫が訪れた樹液から酵母を分離した。その結果、マイカンギアから特定の酵母は見出されず、酵母との共生関係がないことが示唆された。不特定の非共生酵母が分離され、それらは坑道と樹液に由来すると考えられる酵母であり、ハナカミキリから分離される酵母と共通する種も見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来の目的である、台湾での野外調査が全くできておらず、亜熱帯のハナカミキリー菌共生系の多様性の糸口すらつかめていないことが主な理由である。ただし、温帯~亜寒帯のデータをより充実させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
台湾におけるハナカミキリの発生時期を考慮し、いいタイミングでの渡航ができるよう受入研究者と密に連絡を取り、現地調査を遂行する予定である。同時に、国内でのデータの充実を図りたい。
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