研究課題/領域番号 |
20KK0359
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
椎村 祐樹 久留米大学, 付置研究所, 助教 (40551297)
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研究期間 (年度) |
2021 – 2023
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
14,040千円 (直接経費: 10,800千円、間接経費: 3,240千円)
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キーワード | グレリン受容体 / GPCR / Cryo-EM / 構造生物学 / 立体構造 |
研究開始時の研究の概要 |
グレリンは、胃から分泌されるホルモンで、グレリン受容体に結合することで成長ホルモンの分泌促進や摂食亢進、エネルギー代謝調節を行なっている。グレリンは、28アミノ酸で構成されるペプチドホルモンであるが、ペプチド部分だけでは活性を持たず、脂肪酸の修飾を受けることで初めて生理活性を持つようになる。つまりグレリン受容体は、グレリンの脂肪酸修飾を認識するための分子機構を備えていると考えられるが、その分子機構は未だ不明である。そこで本研究は、クライオ電子顕微鏡法を用いた立体構造解析によって、グレリン受容体の活性型グレリン認識機構を明らかにしようというものである。
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研究成果の概要 |
本課題では、グレリン受容体を標的とした創薬を加速させることを目的として、アゴニストが結合したグレリン受容体-Gqタンパク質複合体の構造決定を試みた。 アゴニストとして、グレリン受容体作動薬で唯一承認されているアナモレリンを用いた。アナモレリン存在下でグレリン受容体-Gqタンパク質複合体を発現・精製して、クライオ電子顕微鏡単粒子解析法を用いてその立体構造を決定した。得られた構造情報からアナモレリンの結合様式を解明するとともに、細胞実験によって、アナモレリンがグレリン受容体のスーパーアゴニストとして作用していることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
食事量の減少と極端な痩せを示すがん悪液質は、がん死因の22%に直接関連していることが知られている。グレリン受容体作動薬のアナモレリンが、このがん悪液質に対して本邦で唯一承認されている一方で、グレリン様作用から想定される筋力増強作用が微弱であるとして欧米諸国では承認されていない。このことからアナモレリンはさらに改良の余地があることが示唆される。本研究は、アナモレリンとグレリン受容体の結合様式を可視化することで、グレリン受容体標的薬の開発を支援する構造情報を取得することに成功した。これによって構造情報を基盤とした創薬展開が可能となり、がん悪液質に対するよりよい治療薬の開発が期待される。
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