研究課題/領域番号 |
20KK0373
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
佐久間 一基 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任准教授 (70791721)
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研究期間 (年度) |
2021 – 2023
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
14,040千円 (直接経費: 10,800千円、間接経費: 3,240千円)
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キーワード | TCA回路 / 非アルコール性脂肪性肝疾患 / 糖尿病 / インスリン抵抗性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)における肝鉄蓄積とインスリン抵抗性増大を結びつけるメカニズムを、肝代謝フラックス解析システムを用いて解明することである。申請者が確立したアデノウイルスベクターとCRISPR/Cas9を組み合わせた肝特異的FDXRノックアウトマウスの肝臓組織を用いてRNAシークエンスとプロテオーム解析を行う。また、共同研究者のYale大学Gerald Shulman教授が精通している肝代謝フラックス解析によって、肝鉄蓄積が糖代謝、脂肪酸合成、脂肪酸β酸化、ケトン合成に影響を及ぼす作用点を統合解析することで、新規NAFLD治療薬・糖尿病治療薬へ展開を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)におけるFDXRの役割について肝代謝フラックス解析システムを用いて、解明することである。 GalNAC修飾したアンチセンスオリゴヌクレオチドによる肝臓特異的FDXRノックダウンマウスを用いて、アスパラギン酸代謝フラックス解析を行った。マウスに[13C5]aspartateと [3-3H]Glucose の持続静注を行い、肝臓における各種代謝産物(標識/非標識コハク酸、リンゴ酸、ピルビン酸)を測定し、コハク酸デヒドロゲナーゼの前向き/後ろ向きフラックス比(Vsdhr/Vsdhf)、ピルビン酸サイクル(Vpyr cycle)/ピルビン酸カルボキシラーゼ(Vpc)比を計算した。2022年度に行った [13C5]glutamineと [3-3H]Glucose の持続静注によるグルタミン酸代謝フラックス解析の結果と統合解析を行い、TCA回路を構成する酵素のフラックスを同定した。FDXRノックダウンマウスは、コントロール群と比較して、TCA回路を構成するコハク酸デヒドロゲナーゼ、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ、オキソグルタレートデヒドロゲナーゼのフラックス低下を認めた。これらの結果は、FDXRが生体において、ミトコンドリア機能制御を果たすことを示した新たな知見である。 一般に、単純性脂肪肝では、基質の上昇、ATP需要の上昇を代償するためにTCA回路のフラックスは亢進するのに対して、病態が進展し非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に至るとミトコンドリア機能の低下により、TCA回路フラックスは低下し、脂肪肝の悪化や酸化ストレスが亢進し、NASHの病態進展に関わると考えられている。FDXRノックダウンは、ミトコンドリアTCA回路フラックスの低下を介して、NASHの病態進展に関わることが考えられる。
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