研究課題
特定領域研究
精子の子宮から卵管への移動と精子の卵子卵丘細胞複合体への侵入・通過に焦点を当てて、受精機構、特に雌性生殖器で起こる精子受容・排除機構に関して研究を行い、次のような成果を得た。(1) 子宮卵管接合部での精子認識機構の解析まず、精子の子宮から卵管への移動に精子タンパク質が関与しているのかを検証するために、トリトンX-100で可溶化したタンパク質を蛍光ビーズへ結合させてホルモン処理したメスマウス子宮に注入した。その結果、子宮卵管接合部で顕著にビーズが結合していることが確認できた。現在、トリトンX-100可溶化タンパク質を精製し、精子側の目的タンパク質の同定を行っている。また、これまでの研究報告を参考として、ADAM3を精子側のひとつのターゲットとして子宮卵管接合部で結合する雌性側因子の探索も行っている。(2) 精子の卵子卵丘細胞複合体侵入と卵丘細胞層通過機機構の解析精子の卵子卵丘細胞塊への侵入と卵丘細胞層通過で起こる認識応答機構を明らかにする目的で、精子ヒアルロニダーゼHYAL5とSPAM1をそれぞれ欠損するマウスを用いて比較検討した。予想に反して、HYAL5欠損精子は野生型精子と同じ機能をもっていた。興味深いことに、SPAM1欠損精子は、媒精後初期の段階で卵子卵丘細胞複合体表層へ顕著に蓄積し、さらに卵丘細胞層へ侵入した場合でも、卵子への到達速度が遅れることが判明した。したがって、SPAM1が精子の卵子卵丘細胞複合体侵入時に認識因子として機能している可能性が見いだされ、現在、その検証を行っている。
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Biology of Reproduction 81
ページ: 939-947
http://www.agbi.tsukuba.ac.jp/~tblab/