配分額 *注記 |
29,770千円 (直接経費: 22,900千円、間接経費: 6,870千円)
2011年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2010年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
2009年度: 10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
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研究概要 |
光合成は,光を集め,そのエネルギーを2つの光化学系に与えて電子を移動させる反応であるが,その電子の移動経路としては,水の分解に始まり,光化学系II-シトクロムbf複合体-光化学系I-NADP^+と伝わる「リニア電子伝達(LEF)」が広く知られている。しかし,歴史的には,リニア電子伝達の発見よりさらに4年前,1954年に「サイクリック電子伝達(CEF)」が発見されている。CEFでは光化学系IIは使われず,電子はもっぱら光化学系Iの回りを循環する。その際,LEFより多くのATPが合成されるため,CEFは細胞にとって多くのATPが必要な環境で重要となっている。植物は,必要に応じてLEF/CEF2つの電子伝達のバランスをとることで,効率良くしかも逆境に強い光合成を行っている。ところが,CEFにおいて,光化学系Iを出た電子がどの分子を経由して再び光化学系Iへ戻ってくるのか,長い間わからなかった。ステート2のクラミドモナス細胞は,CEF活性が高いことで知られているため,ステート2状態の葉緑体を詳しく調べれば,長い間明らかでなかったCEFの実体がつかめるのではないかと予想し,ステート2状態のクラミドモナス細胞から光化学系Iを含む巨大複合体を単離した。解析の結果,この複合体は光化学系I超複合体ばかりでなく,シトクロムbf複合体,フェレドキシン-NADP酸化還元酵素などLEFでおなじみのタンパク質複合体が集合してできた,分子量150万の超・超複合体であることがわかった。この超・超複合体(CEF超複合体)に光を当てると,電子は光化学系Iから隣のシトクロムbf複合体へと移動し,また光化学系Iへと戻ってくることが確認された。この結果より,従来どこで行われているのか明らかでなかったCEFは,LEFの部品をCEF仕様に再配置したCEF超複合体上で行われていることが明らかとなった。
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