研究課題
基盤研究(A)
InP基板上のBeZnTe/ZnSeTe超格子活性層材料の検討を進めた。従来のBeZnSeTe活性層を用いた場合、活性層とバリア層(クラッド層)との界面において、組成制御のための成長中断が必要であり、これが界面での結晶性を劣化させ、素子特性に悪影響を及ぼしていた。そこで、BeZnSeTeの代わりにBeZnTe/ZnSeTe超格子を用いることで成長中断を無くし、素子特性への影響を削減する新たな手法を開発した。更に、この超格子のもう一つの特長として、簡便な組成制御性が挙げられる。即ち、超格子中の各層厚を変えるだけで、基板との格子整合を保ったまま超格子全体における等価的な組成が制御できる。本研究では、BeZnTe/ZnSeTeの各層厚を4分子層(ML)/2MLから1ML/20MLに変化させた超格子を分子線エピタキシー(MBE)法を用いて作製し、特性を評価した。室温でのフォトルミネッセンス(PL)測定により、ピーク波長が480nmから589nmの単峰性発光が得られた。また何れの発光もBeZnSeTeと比べ2~4倍程度の発光強度が得られた。BeZnSeTeでは、光励起により低しきい値レーザ発振が得られていることから、BeZnTe/ZnSeTe超格子においてもより優れた発振特性が得られると期待される。更に、BeZnTe/ZnSeTe超格子においてBeZnSeTeと比べ優れた特性が見出された。BeZnSeTeではBe組成を0.3以上にすると間接遷移になり、発光特性が急激に劣化する。一方、BeZnTe/ZnSeTe超格子では等価的なBe組成が0.32においてもピーク波長480nmの強い青緑色発光が得られ、直接遷移が維持されていることが分かった。このことから、超格子では、直接遷移から間接遷移へ変化するBe組成がBeZnSeTeよりも高く、より短波長化が可能であることが示された。
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Japanese Journal of Applied Physics
巻: 50
210000070082
Applied Physics Letters 94
120005880478
Journal of Crystal Growth 311
ページ: 2291-2293