研究概要 |
マイクロチャネル内気液界面極近傍における,ゼータ電位,温度および速度といった界面の物理量がナノ粒子の流体抗力・拡散係数・物質間作用力に及ぼす影響を実験的に解明しモデル化を行い,流体界面近傍における物質輸送理論の確立を行う.本年度は,ナノスケール多変量時空間同時計測法の開発を行い,気液界面近傍における移動現象に支配的な複数の物理量を抽出し,界面物質移動現象の解明を行うことを目的としている.そこで購入した高解像度型・デジタルハイスピードビデオカメラを適用し,レーザ誘起蛍光法用のCCDカメラと併用し速度・電位同時計測を行った.対象としたのは固液界面における電気浸透流速度および壁面ゼータ電位であり,高時空間分解能を有する同時計測を可能とした.マイクロチャネルに電界を印加することによる,速度計測用の蛍光粒子の電気泳動,そしてゼータ電位計測用の蛍光色素の電気泳動を考慮し,高精度速度・電位同時計測法の確立を行った.更に,購入した大口径ソフトエッチング装置を用いて,表面修飾化学法をマイクロチャネル壁面に適用し,壁面ゼータ電位の変化が壁面極近傍の電気浸透流に及ぼす影響を定量的に評価を行った.本年度の研究期間は約1ヶ月と短かったが,本手法の気液界面熱流動現象への適用は容易であり,尚且つ,同様の蛍光粒子および蛍光色素を採用することにより,界面速度・電位同時計測,あるいは界面速度・温度同時計測は可能である.
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