研究協力者 |
福西 ローラ 神戸市外国語大学, 講師
KIEFFER-PULZ Petra ドイツ・ハレ大学, 講師
GRUNENDAHL Reinhold ドイツ・ニーダー-ザクセン州およびゲッティンゲン大学, 図書館, 専門研究官
RADICH Michael ウェリントン大学, Senior Lecturer
LIER Vladislav ゲッティンゲン大学, インド・チベット学研究室, 研究員
OBERLIES Thomas ゲッティンゲン大学, インド・チベット学研究室, 教授
ZORIN Alexander ロシア・アカデミー図書館, 学芸員
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配分額 *注記 |
7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2011年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2010年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2009年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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研究概要 |
パーリ文献ないし上座仏教研究にとって,土着の文献資料はこれまで各上座仏教国の外ではほとんど研究されてこなかった.日本の場合は,ビルマ語研究者によるビルマ仏教史については,勝れた研究と翻訳が出されているが,シンハラ語仏教文献については,ほとんど知られていない.しかし,スリランカの中世期(12~15世紀)には,スリランカの仏教徒により,パーリ語だけでなくシンハラ語による仏教文献の著作が盛んに行われるようになり,その時期に,ビルマやタイにも強力な王国が出現して,こぞってスリランカから,正当な仏教としての,スリランカ上座仏教を取り入れた.このスリランカ国内の仏教研究の最盛期のシンハラ語による著作には,パーリ文献の翻訳,語釈があり,また独自の著作も作られた.これらの翻訳や語釈,解釈本は,その当時のスリランカのパーリ文献の読みと解釈を伝える資料として,非常に有用であることが明らかとなった.また,パーリ文献でも,アッタカターには次第に大乗的な色彩が見えてくることが指摘されているが,中世期のシンハラ仏教文献には,パラークラマバーフ1世王による,保守的マハーヴィハーラ派上座部への仏教統一後も,それまでに伝えられ,民衆の中に入り込んだ北伝・大乗的要素が,残っており,現地調査により,北伝的・大乗的説話が寺院の壁画に描かれ,また一般のスリランカ仏教徒にも語り伝えられ生きていることがわかり,我々が抱いていた上座仏教のイメージが実際とは相当に異なることが洞察することができた.収集した資料で入手困難なものや,寺院壁画はHPで順次整理公開して,研究者の利用に供する.
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