研究課題/領域番号 |
21350009
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
榊 茂好 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20094013)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
15,860千円 (直接経費: 12,200千円、間接経費: 3,660千円)
2010年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2009年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
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キーワード | 遷移金属錯体 / 電子状態計算 / 結合性 / 励記状態 / 反応過程 / 触媒作用 / 発光スペクトル / 理論計算 |
研究概要 |
本研究では金属錯体の高精度計算を可能とするためにフロンティア軌道エネルギーを再現するようにモデルポテンシャルを利用して、高精度のモデル化を実現した。この方法をFrontier-Orbital-Consistent Effective Potential(FOC-EP)と呼ぶが、具体的に錯体化学で多用されているボスフィン配位子のFOC-EPを作成した。このモデルポテンシャルを2,3の大規模な金属錯体に適用し、実験結果を再現した。タングステン(W)やモリブデン(Mo)にケイ素化学種、シラプロパルギルが結合した金属複合系の理論的研究を行い、構造、結合性、電子状態を明らかにした。さらに、どのような場合に、従来単離されていないシラプロパルギル錯体が単離可能かを理論的に予測し、安定性を支配する因子を解明した。この理論的予測に従い、最近、実験分野でシラプロパルギル錯体の単離が成功した。Cr-Cr直接結合を持つOpen-lantern型二核金属錯体を取り上げ、結合性と電子状態を検討した。DFT法ではCr-Cr間距離が大きく過小評価され、静的相関のみを含むCASSCFでは著しく過大評価し、静的相関と動的相関の双方を含むMRMP2法で始めて適切な結合距離を与えた。これらの結果は静的相関が非常に大きいことを示しているが、この結果は、Cr-Cr距離が金属間距離としては短いと言う実験分野での議論に矛盾する。我々は新しい金属間距離を議論する基準を軌道の重なりに基づいて提案した。この新しい基準は金属間距離と金属間結合の性質の相関について正しい理解を与えた。 このように、複雑な電子状態を持つ遷移金属錯体の構造と電子状態を明快に解明することに成功した。
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