配分額 *注記 |
19,240千円 (直接経費: 14,800千円、間接経費: 4,440千円)
2011年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2010年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2009年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
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研究概要 |
ケトン類の高エナンチオ選択的水素化の原点は、1987年に本研究者らによって報告されたBINAP. Ru錯体触媒を用いるβ-ケトエステル類の不斉水素化にある。現在では、最も大きなホスフィン系配位子群を形成するに至っている。本研究では、この主流から離れ、非ホスフィン系配位子を有するRu錯体の不斉水素化機能の開拓を目指した。1960年のGoodwin-Lionsの報告を原点とする「sp^2N/sp^3NH混合系四座配位子」に焦点を置き、如何に正八面体錯体形成時の立体選択性を高めるかを念頭に、1, 1'-ビナフチル-2, 2'-ジアミン(BINAN)骨格の3, 3'位にフェニル基とsp^3N原子上にピリジン-2-イルメチル基を有するPh-BINAN-H-Pyを設計・合成した。この配位子を用いるとRu、Fe、Mn、Cu等の錯体は溶液中・結晶中を問わず、完璧にcis-α選択性を示すことが明らかになった。さらにRu(π-CH-2C(CH-3) CH-2)-2(cod)錯体との混合触媒を用いると、様々な芳香族ケトン類を最高99 : 1以上のエナンチオマー比の対応する光学活性二級アルコールに変換できることも見いだした。窒素系配位子を用いての高効率不斉水素化のはじめての成功例であり、触媒開発に新たな指針を与えることができた。
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