研究課題
基盤研究(B)
ロタキサンの輪コンポーネントとして、様々な環状βペプチドを合成した。10, 12-pentacosadiynoic amideを側鎖に有する環状トリβペプチド、cyclo(4-(4-pyridyl)-.-homoalanine) 3、2個の.-glucosamino acidsと1個のtrans-2-aminocyclohexylcarboxylic acidからなる環状トリβペプチド、6個の.-glucosamino acidsからなる環状ヘキサβペプチド、そのヘキサペプチドに3個のグリシンやリポ酸を導入した誘導体、などである。いずれの環状βペプチドも、条件を選ぶことで分子間での水素結合形成により会合し、カラム状のナノチューブとなった。これらのことから、分子集合化によりナノチューブとなる環状βペプチドの例を増やすことができた。また、ペプチドナノチューブの会合体について、G-カルテット形成による4本のバンドル化の手法を提案することができた。さらに、ペプチドナノチューブの軸方向に沿った特定の面に、側鎖官能基の分子組織化を利用して官能基を並べる方法も提示できた。特に、ナノチューブに沿った官能基のスペーシングは、環状ペプチドの厚みに相当することから、ジアセチレンの重合に適した配置で固定化できることもわかった。このように、環状βペプチドの自己集合化によるペプチドナノチューブの構築と、サイズの定まったバンドル形成、ならびに、ポリジアセチレンとの複合化による機能化、について成果を挙げることができた。続いて、基板上にこれらのナノチューブを構築することを試みた。cGAN6は、DMF溶液を用いて室温にて浸漬すると、傾き角41°、密度0. 54の自己組織化膜を形成した。DMF溶液を用いて60°で浸漬した場合、またクロロホルムを用いて室温で浸漬した場合、密度はほぼ1となり、稠密な自己組織化膜の形成を確認したが、傾き角が52°と傾いて固定化されることがわかった。一方、MeOHやアセトニトリル溶液を用いて浸漬した場合、多層膜を形成した。金基板上で表面ロタキサンを形成するには、環状ペプチドが傾き角90°で固定化される必要があり、固定化に用いたリンカーの分子長が短いことが原因に考えられた。これに対し、cGAS6は、リンカーの長さが十分と考えられる。cGAS6のDMF溶液やMeOH溶液、クロロホルム/メタノール混合溶液を用いて自己組織化単分子膜を調製し、傾き角を求めたところ、58°から64°の範囲の値が得られ、完全に基板平面に横たえた配向にすることはできなかった。金表面上にロタキサンを構築する条件検討を続けて行っている。
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