研究課題
基盤研究(B)
電子波コヒーレンス解明に向け、電子波発生層/バリスティック伝搬層/波面変調層/コレクタ層構造を走査探針/金薄層/i-InP/i-GaInAs/i-InP/δドープ層/i-InP/n-GaInAsで構成し、走査探針からホットエレクトロンを注入し、コレクタ電流を検出することを目指した。これに必要な金/InPの良好なショットキー特性を硫化アンモニウム処理により達成した(ショットキー障壁(SB)高さ0.64eV)。さらにSBコンタクトを40μm角という微小面積に制限し、金膜厚は5nmと極薄で、さらに金表面がAs-Depo.で清浄に保たれるデバイスプロセスを考案して作製した。これらにより探針を2次元走査し、コレクタ電流の2次元分布を描画し、回折現象を観測し、回折特性から波面広がりを評価してホットエレクトロンコヒーレンスを解明する実験準備を整えた。モンテカルロならびに量子FDTDにより電子波伝搬シミュレーションを行い、最適構造・測定条件を得、その時に信号がノイズの3倍となり、信号検出が可能なことを理論的に明らかにした。コヒーレントフォノンとコヒーレントホットエレクトロンの相互作用を理論的に研究した。InPにZnO薄膜を5nm堆積させた構造で膜厚方向に400GHz、1Vを加えた時、有限要素解析より縦波変位振幅は2pm、変形ポテンシャル値と結合波近似理論より、ブラッグ反射による阻止帯幅は8.3meVで室温で観測可能との見通しを得た。ただし400GHzで1V印加は現状の回路技術では厳しい。そこで比較的容易な100GHzでの実験条件を探った。ホットエレクトロンエネルギーを適切に同調し77Kでブラッグ反射現象観測の可能性が明らかになった。実験を具体化できるようにした。
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Japanese Journal of Applied Physics 49
40016982521