研究課題/領域番号 |
21380063
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用生物化学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
草野 友延 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (40186383)
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研究分担者 |
高橋 芳弘 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 准教授 (20390891)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2011年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2010年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2009年度: 12,610千円 (直接経費: 9,700千円、間接経費: 2,910千円)
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キーワード | 植物 / ストレス / ポリアミン / 生体防御 / スペルミン / ポリアミン酸化酵素 |
研究概要 |
植物においてもポリアミンは、細胞分裂が盛んな細胞や生殖細胞に多く含まれることから、細胞分裂、成長そして分化等のプロセスで機能するとされてきた。ポリアミン合成系遺伝子の発現は、塩や乾燥といった非生物的ストレスや非病原性微生物の感染時に誘導されることから、ポリアミンはこうした環境ストレスに対する生体防御においても機能することが示唆されていた。研究実施者は、テトラアミンであるスペルミンとサーモスペルミンを合成できない変異体が塩や乾燥ストレスに高感受性となること、また細胞間隙に蓄積したスペルミンが病原菌感染時特異的遺伝子群の発現を誘導するシグナル分子として機能すること、を示してきた。本研究で、テトラアミンの2成分を迅速に定量的に分離する手法を確立し、スペルミンが上記ストレス時の防御に機能することを明らかにした。また、シロイヌナズナ植物体内でこれら2つのテトラアミンの合成部位が区分けされているかについても、各合成酵素遺伝子のプロモーター解析から示した。上述のスペルミンシグナル伝達経路には、ポリアミンの分解に関わるポリアミン酸化酵素が関与することが薬理的手法により示唆されていた。そこで、シロイヌナズナに5種類あるポリアミン酸化酵素遺伝子の発現パターン、このうちの4種類の組換え酵素のポリアミン基質の特異性等についても明らかにした。従来、植物のポリアミン酸化酵素は末端代謝系と呼ばれる反応を触媒すると考えられていたが、シロイヌナズナのポリアミン酸化酵素は、いずれも動物細胞と同じ逆変換代謝系の反応を触媒することを示した。単子葉植物のイネには、7種類のポリアミン酸化酵素遺伝子が存在するが、このうち少なくとも3種類の遺伝子産物は、シロイヌナズナと同じく逆変換代謝系の反応を触媒することを明らかにした。イネは、末端代謝系を触媒する酵素の存在が示唆されており、この点についても検討を進めている。スペルミン合成酵素遺伝子を過剰発現するシロイヌナズナとスペルミン合成酵素遺伝子を欠損しているシロイヌナズナを用いて、熱ショック応答反応においても重要な役割を担っていることを示した(論文投稿中)。スペルミンは、小胞体ストレス応答反応における鍵遺伝子のひとつbZIP60の発現を誘起することを報告してきたが、本研究によりIRE1がもつRNase活性を高め、bZIP60転写物をスプライシングし、活性型のbZIP60タンパク質の産生をもたらす事も示した(投稿準備中)。外部から加えたサーモスペルミンは、スペルミン応答遺伝子群のほぼ全てを誘導する活性を持ち、シロイヌナズナでのキュウリモザイクウイルスの増殖を著しく抑制する活性を持つことも明らかにした。この発見は、ポリアミン骨格をもつ化合物が新たな植物成長化学調節物質となる可能性を示唆するものである。
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