研究課題
基盤研究(B)
ネコはネコ免疫不全ウイルス(FIV)に感染すると、数年以上もの長い無症候キャリアー期を経て免疫不全状態になり、ネコヘルペスウイルスやネコカリシウイルスなどの感染症により死亡する。しかしながら大規模な疫学調査により、発症せずに6年以上経過するネコの割合も多いことが明らかになってきた。FIVの感染による後天性免疫不全症候群発症にはウイルス側の要因、ネコの遺伝学的および免疫学的背景、その他の感染要因が複雑に絡み合っていると考えられる。FIVを抑制する宿主因子はいくつか想定されている。ISG15はI型IFN刺激により発現される遺伝子の1つで、同分子がもつユビキチン様活性(ISG化活性)により様々なウイルスに対して抗ウイルス活性を示し、FIVにおいても抵抗性を発揮すると考えられる。ISG化にはISG15以外にISG化関連酵素群の共発現が必要である。そこで酵素群の1つであるネコUBE1L(FeUBEID遺伝子のクローニングを行い、さらに、各種細胞でのFeUBE1Lの発現状況およびI型IFN刺激による発現誘導の有無を確認した。CRFK細胞のcDNAライブラリーから、これまでに決定したFeUBE1L遺伝子配列をもとに設計したプライマーを用いてPCRを行い、全長のクローンを得た。また、未感作、ネコIFN-ω(FeIFN-ω)およびウシIFN-τ(BoIFN-τ)感作のFeT-J、3201、CRFK、fcwf-4、G355-5細胞でのFeUBE1L遺伝子の発現量をReal-Time RT-PCR法により定量した。FeUBE1LはFeIFN-ωおよびBoIFN-τにより誘導されることが明らかとなった。FeUBE1遺伝子のクローニングに成功したことから、今後、FeISG15の共発現により、in vitroでのISG化の系が確立でき、抗ウイルス活性のメカニズムを解明できると考えられる。
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