研究課題/領域番号 |
21390358
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川口 義弥 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60359792)
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研究分担者 |
秋山 治彦 京都大学, 医学研究科, 准教授 (60402830)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2011年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2010年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2009年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | 成体臓器維持機 / 幹細胞 / Sox9 / 肝前駆細胞 / 膵前駆細胞 / 腸管幹細胞 / 膵臓 / 肝臓 / 転写因子 |
研究概要 |
成体臓器に幹・前駆細胞が存在するとすれば、それは胎生期の臓器形成過程で働いている幹・前駆細胞の特質(自己複製能力・多分化能力・未分化状態維持能力)を共有するはずだとの考えから、多くの臓器形成時に細胞分化を調節する転写因子Sox9に着目し、成体肝臓・膵臓・腸管の幹・前駆細胞の同定を試みた。ヒト、マウス成体十二指腸、膵臓、肝臓におけるSox9の発現パターン解析から、樹状構造を呈する胆管・膵管、さらには十二指腸乳頭部を介して腸管陰窩の幹細胞領域と繋がる連続した構造がSox9陽性であった。タモキシフェン誘導性Cre-loxPシステムを用いた系譜解析の結果から、成体小腸・大腸上皮の全細胞、肝細胞、膵臓外分泌細胞がSox9陽性領域からの持続的な細胞供給を受けており、多分化能と自己複製能を併せ持つ幹・前駆細胞がSox9発現領域に存在すると理解された。成体膵内分泌細胞はSox9陽性細胞からの供給を受けていなかった。 さらに、胎生期Sox9陽性細胞の挙動解析から、膵Sox9陽性細胞は膵島構造形成期(生後約1週齢)に内分泌分化能力を喪失すること、肝臓の幹細胞は、発生中期の胆管形成期を境としてSox9陰性肝芽細胞からSox9陽性胆管細胞に徐々にスイッチしてゆくことが分かった。造血臓器として機能している胎生期肝臓が、成体における代謝中枢および消化器外分泌器官としての肝臓へと機能転換してゆく点を考慮すると、「幹細胞システムと組織構築、臓器機能には密接な関連がある」という概念を導くことができる。 成体臓器維持における幹細胞システムの解明は幹細胞治療への応用といった将来展望に直結するのみならず、疾患の理解も深まる可能性がある。今後、幹細胞システムの異常という観点から疾患を見直すというコンセプトにより、本質的な病態の解明や治療方法の開発に貢献することが期待される(Furuyama, Kawaguchi et al. Nature Genetics 2011)。
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