研究課題/領域番号 |
21390477
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
形成外科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉村 浩太郎 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60210762)
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研究分担者 |
東野 琢也 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70433901)
荒木 淳 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (00508088)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2011年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2010年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2009年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
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キーワード | 脂肪由来幹細胞 / 血管内皮細胞 / 虚血 / 創傷治癒 / 血管新生 / 組織傷害因子 / 糖尿病 / 脂肪幹細胞 |
研究概要 |
皮弁挙上、外傷、脂肪移植、圧迫(褥瘡)、放射線照射、血行不全(糖尿病ほか)など、形成外科において脂肪組織が虚血に陥ることは頻繁に遭遇するが、何が起こっているのか調べられていない。マウスの鼠径脂肪組織(組織酸素分圧50-60mmHg)で、軽(酸素分圧で正常の75%)、中(55%)、重症(20%)と3種類の程度の急性虚血脂肪モデルを作成し、経時的変化を調べた。4週後にはその阻血の程度に応じた線維化が形成された。軽症、中症モデルでは血管新生によりは4週までに徐々に回復したが、重症モデルでは30mmHg程度までであった。虚血誘導後すぐにHIF-1とbFGFの発現、さらに脂肪細胞のアポトーシス・壊死、マクロファージの浸潤(死細胞の貪食は4週間まで)が認められた。死細胞の中には、脂肪細胞以外に、血管内皮細胞や血球由来細胞も見られたが、脂肪前駆細胞(幹細胞を含む: ASC)は見られなかった。こうした傷害変化に引き続きASCや血管内皮細胞を中心として分裂を繰り返し、再生変化(脂肪新生、血管新生)が認められた。血管新生(レクチン陽性細胞の増加)は3日めから、脂肪新生(血管新生を伴う小脂肪細胞の増加)は7日目から、ともに14日目まで有意に認められた。さらにin vitroにおいて、脂肪細胞とASCを重度虚血環境(1%酸素)で培養したところ、脂肪細胞だけが早期にアポトーシスを起こし、ASCは3日間までは生存可能であった(その後壊死)。すなわち、虚血により敏感な細胞から順に細胞死を起こしていく一方、虚血に強いASCは最低3日間は生存し、むしろ虚血変化に伴うシグナルに惹起されて活性化(分裂、遊走、分化)され、虚血に対する適応変化として脂肪新生や血管新生を促すことが分かった。こうした脂肪リモデリング機序が解明されたことは、臨床における組織の阻血、壊死回避のための治療戦略に重要な鍵を与えている。
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