配分額 *注記 |
16,120千円 (直接経費: 12,400千円、間接経費: 3,720千円)
2011年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2010年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2009年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
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研究概要 |
平均寿命の向上と急速な高齢化により,体の機能を喪失した患者が人工材料に頼らざるを得ない期間も長くなりつつある.このため歯科治療では従来の義歯に対する不満も増加し,これに代わる理想的な人工歯根(インプラント)が求められている.これまでチタン製インプラント表面処理は,硬組織との結合能と新生骨のボリュームを向上させることを目的としてきた.近年,経皮デバイスであるインプラントは骨との界面だけでなく,インプラント表面と口腔粘膜との界面微小領域が注目されている.この微小領域でインプラント表面と生体とは,硬組織および軟組織さらには微生物の生存する口腔液それぞれとの界面を形成するためである.術創を速やかに閉鎖し,インプラントを機能させるには,材料表面と組織の適合性が求められる.また口腔液との界面微小領域では細菌付着を防止し,バイオフィルム形成を予防する必要がある.本研究では電解液中での放電陽極酸化処理により,チタンの抗菌効果と生体適合性を向上させた.塩化ナトリウム溶液中で放電陽極酸化したチタンプレートの抗菌効果の影響する範囲を特定した. Ti-Clおよび未処理のチタンプレート上にグラム陰性菌および陽性菌の細胞膜・細胞壁成分それぞれLipopolysaccharide(LPS), Peptidoglycan(PGN)およびphospholipid層約70-80%を占める主成分であるL-α-Phosphatidylethanolamine(PE)を試薬として用い,全反射法を併用した赤外分光分析法にて,それぞれのIRスペクトルの経時的減衰と代謝産物を検出した.次亜塩素酸の過酸化作用により分解された細胞膜・細胞壁成分はC=O二重結合の減衰と代謝産物であるアルデヒドやケトングループが検出されると考えられる.接着機構の違いによる細菌および細胞のTi-Cl上での生存率を評価した. Ti-ClはPGNに特異的な酸化作用を示し,接着細胞への為害性がなくチタンインプラントの表面処理として有効である.
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