研究課題/領域番号 |
21500319
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 財団法人東京都医学総合研究所 (2011) 財団法人東京都医学研究機構 (2009-2010) |
研究代表者 |
筧 慎治 財団法人東京都医学総合研究所, 運動・感覚システム研究分野, 副参事研究員 (40224365)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2011年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2010年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2009年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 小脳 / プルキンエ細胞 / 小脳核 / 脱抑制 / 状態予測 / 内部モデル / 小脳皮質 / 順モデル / 予測 / バスケット細胞 / 情報変換 / フォーワードモデル / 座標系 |
研究概要 |
最も有力な小脳の機能仮説によれば、小脳は進行中の運動の結果を予測する順モデルの座とされる。この仮説では大脳皮質から小脳への入力は、大脳皮質の活動の忠実なコピー、いわゆるefference copyであることが要請される。そこで我々は、平成21, 22年度に手首運動課題を実行している3頭のニホンザルで大脳皮質の出力を小脳に中継する苔状線維の活動を記録分析した。その結果、一次運動野、腹側運動前野の出力を小脳に中継する苔状線維の活動は、各大脳皮質活動の正確なコピーであることが証明され、仮説が支持された。そこで23年度は、1)小脳皮質への苔状線維入力の変換様式、2)その変換様式の意義の2点について検討するため、小脳皮質の出力を担うプルキンエ細胞および小脳の最終出力を担う小脳核細胞の活動を同じ条件下で記録した。その結果、予想に反して運動の実行時に強い抑制応答を示すプルキンエ細胞が約7割を占め、これまで主要とされた興奮性の応答を示すものは3割に満たなかった。この結果から、小脳皮質の主な出力経路とされるa)苔状線維→顆粒細胞→プルキンエ細胞興奮経路よりも、b)苔状線維→顆粒細胞→バスケット細胞→プルキンエ細胞抑制経路が小脳皮質の主出力を担い、小脳の出力生成が脱抑制によって行われることが初めて示された。更に我々はb)の経路を流れる情報の内容を分析し、それが運動の速度に極めて高い相関を示し、60ms後の実際の運動の状態を予測している直接的証拠を得ることに成功した。これにより小脳が順モデルの座であることが確実になった。我々はさらにb), a) 2タイプのプルキンエ細胞と、その入力を受ける小脳核細胞の活動を比較し、2つの出力が小脳核で合流し、その差分が小脳核の出力を規定していることを示した。我々の一連の研究により、小脳への入力から最終出力に至る情報処理のアルゴリズムが世界で初めて明らかになった。
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