研究課題/領域番号 |
21500748
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生活科学一般
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研究機関 | 岐阜市立女子短期大学 |
研究代表者 |
村上 眞知子 岐阜市立女子短期大学, 生活デザイン学科, 教授 (80123628)
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研究分担者 |
藤本 尊子 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (00115073)
松平 光男 金沢大学, 学校教育系, 教授 (10142621)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2011年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2010年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2009年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | アパレル素材 / 羊毛 / プラズマ加工 / 布の力学特性 / 接着複合布 / 剥離強度 / 布の熱物性値 / 布の通気性能 / 官能検査 / 美しい外観 / アパレルトレンド / 素材物性 / 副素材 / 接着縫製 / 力学特性 / 積層複合布 |
研究概要 |
イタリアで生産されている生地が「感性豊か」であると評価される原因を明らかにするために、典型的な日本製の生地と、対比試料としてイタリア製の生地を準備し、両者の力学特性の計測を行った。また、イタリアと日本のそれを21人の手触り評価の結果、5段階評価で、イタリア布では、春夏用4.0、秋冬用4.6に対し、日本の布では春夏用2.8、秋冬用2.4という結果で、明らかにイタリア布を高く評価していた。これらの試料について、KES-FB5圧縮試験機の加圧板を針貫通力測定用に改造した装置を用いて、両試料群の貫通抵抗を計測した。その結果、イタリア布の針貫通抵抗が日本の布に比べて非常に小さいことがわかった。これは、イタリア布では、織物を構成している経糸、緯糸が、織物の中で、しっかりふくらみを保っているのに対し、日本の布では、過剰な仕上げ処理などによって、織物自体が板のようになっているためと考えられる。(2) 2/2綾組織を持つ、スコットランド・ハリスツイードに似た触感・風合いを持つ布地に、15種類の仕上げ処理を施し、仕上げ処理による基本力学特性の変化、熱物性的変化をカトーテック製・KES-FB計測システムを用いて計測した。同時に、触感、視覚による風合い評価を、テキスタイル/ファッションビジネスに長年関わっている専門家と、同分野で学ぶ学生を被験者として、5段階評価による官能検査を行った。元布となる羊毛生地は、コースウールを用いて2/2綾構造で織り上げられている。これに、酵素処理による柔軟加工、フェルト性を利用して縮絨させたミルド加工、塩素処理による防縮加工(4段階)、プラズマ防縮加工、樹脂のコーティングなど15種類の表面加工を施し、力学特性の違い、風合い値の違い、および手触り評価との関係を解析した。試料布の曲げヒステリシス、せん断ヒステリシスに関して、処理によって元布より小さい値をとる試料から2倍以上の値を持つ試料まである。この値の変化は「こし」、「ふくらみ」といった風合いや、総合風合い(THV)、衣服にした時の仕立て映え(TAV)にも大きく影響を及ぼすことが考えられる。本研究において、表面摩擦特性の計測に、従来用いられている指先の指紋を模した接触子に代わって、指先様接触子を用いた。両者の接触子を用いた場合の表面摩擦特性値、MIU、MMD、SMDの違いを検討した。その結果、指先様接触子が、試料の表面状態の違いを明確に数値化し、手触り評価の相関が非常に高い子を用いた場合の表面摩擦特性値、MIU、MMD、SMDの違いを検討した。その結果、指先様接触子が、試料の表面状態の違いを明確に数値化し、手触り評価の相関が非常に高いことがわかり、その有効性を明らかにした。(3)羊毛織布のプラズマ処理によって、防縮性が得られ、イージーケア性が高まることは知られている。また、2次的効果として、接着性の向上がいわれている。衣服を作り上げるとき衣服の成形性を高めその形を維持する(形態保持)ために、芯地が用いられそのほとんどが接着芯地である。本研究では3種類の羊毛織物に、アルゴン低温プラズマを照射し、その接着性を未処理布と比較した。接着布はポリエステル平織にPa樹脂塗布の市販品である。処理した布と未処理の布に対して、同一条件で、ジャケット前身頃を想定した接着芯地を接着し、カトーテック製・KES-FB計測システムを用いて基本力学特性の変化と、KES-FB1引っ張り試験機を剥離強度の測定に応用し、接着性の評価に用いた。いずれの試料布においても、未処理麩に対して、プラズマ処理布では剥離強度が増加し、接着力が増す結果を得た。プラズマ処理による羊毛繊維表面のスケールの変化が、接着剤樹脂の親和性に影響を及ぼしていることが考えられる。さらに、プラズマ処理によって、曲げ特性、引張り特性にも変化がみられた。
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