研究概要 |
以下の3つのテーマについて,並行して研究を進めてきた。 テーマ1 :視覚障害者用道路横断帯の耐久性向上と補修時期に関する調査研究 テーマ2 :環状交差点における道路横断支援に関する研究 テーマ3 :二次課題法による心理的ストレスの評価 テーマ1に関しては,愛媛県松山市のある交差点の横断歩道に硬度の異なる3種類のウレタン系樹脂突起を使って道路横断帯を敷設し,摩耗経過を継続測定したところ,軟らかいほど摩耗が少ないことを示唆する結果を得た。また,補修時期の目安を求めるため,突起の高さと足裏での検知性の関係を目隠しをした晴眼被験者について調べたところ,高さが2mmになると検知性に低下があることが認められた。 テーマ2に関しては,三鷹駅前のロータリ交差点(環状交差点)における平成22年度のフィールド実験において歩道縁石と横断歩道の方向が直交していないところや歩道上に誘導用ブロックが設置されていない箇所では方向を見失う場合が多々みられたことを受け,改修工事が行われた。すなわち,歩道縁石と横断歩道を直交させ,歩道上には誘導用ブロックが敷設された。前と同様,モデルルートを設定し, 5名の晴眼者と10名の視覚障害者の参加を得て,フィールド実験を行ったところ,方向を見失うケースは激減し,改修工事の妥当性が確認された。 テーマ3に関しては,愛媛県のあるリハセンターの協力を得て,臨床試験を行った。道路横断を含むモデルコースを設定し,そのリハセンターに在籍する訓練生を対象に,タッピング(1秒間隔で押しボタンスイッチを押す)を二次課題法として,歩行訓練の進行に伴う二次課題のパフォーマンスの変化を調べたところ,向上がみられた。歩行における心理的ストレスの測定に二次課題法の適用できる可能性が示唆された。
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