研究概要 |
軍記を<武>の表現として捉え,歴史事象・地域伝承等へ視野を拡大し,「戦争の語り方」という課題設定から研究をおこなった。およそ以下の2つの成果を得た。1点目は<武>の表現が歴史事象としての「断罪」から「戦闘」へと変容していく傾向を把捉したことである。2点目は,江戸前期(17世紀半ば)の修史事業を契機として「軍記」はさかんに流動・伝播した。都市部では新たな物語(軍談など)の創作がおこなわれる一方,地方では伝播した軍記作品等が史書に近い形で受容されていくという2つの方向性が認められたのである。
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