研究概要 |
本研究は、ドイツ語・英語に現れる無冠詞名詞句を、並列句、A=Bのコピュラ文の叙述名詞、前置詞+無冠詞名詞について考察した。無冠詞並列名詞句は、[分割性・複数]の素性を持ち、定・不定・総称解釈を持つこと、冠詞用法より経済的で、最適表示になりうることを示した。第二に、"Hans ist Komponist."(ハンスは作曲家だ)のようなドイツ語コピュラ文における無冠詞名詞の特性(職業・国籍等の所属リスト)について、英語と比較した。さらに、英語・ドイツ語の副詞的前置詞+無冠詞名詞(融合形)は、場所、制度的場所、目標、様態・手段に分類できる(at, in, on, toなどの前置詞が使われ、ドイツ語ではan, auf, in, zuが生じる)。また、場所(目標)や制度的場所を表す場合、対象(場所)の不定の存在が含意され、場所に付随して習慣的意味(社会活動等)が加わることを示した。
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