研究概要 |
本研究では,片仮名表記された中世和歌のうち,冷泉家蔵承空筆私家集(13世紀末から14世紀はじめ書写)について,日本語書記史の観点から,同資料のテキストコーパスおよび画像データベースを作成するとともに,親本である資経本私家集(平仮名本)と比較することによって,両者にどのようなちがいがあるのか分析を行った。承空本の片仮名で書写された和歌は,基本的には親本(平仮名本)の機能を引き継いでいるが,異体仮名のバリエーションが減り,かなづかいに揺れがある場合は統一され,漢字表記語も語によって固定される,などの点で,平仮名本と異なっていることを確認した。
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