研究概要 |
本研究は,1950 年代の米・中東関係および中東を巡る米英関係を分析し, 1956 年のスエズ危機を経て中東における覇権が英国から米国に移行したとする通説に代わる,新たな視点を提示する。 1950 年代中葉に至るまで米英両国は,具体的な外交戦術を巡る軋轢をはらみながらも,中東に親西側同盟網を形成するという共通の目標を追求していたが,1958 年イラク革命を契機に両国の中東政策の枠組は質的に大きく変化した。それ以降両国は,中東諸国を潜在的な同盟国と見做すことをやめ,かわりに安定的な石油輸出の継続を中東における主たる目標と定め,中東諸国はそれを実現するために外部から操作する対象と見做されるようになるのである。
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