本研究は、19~20世紀転換期の英国社会主義者たちの自然観や自然への態度を検討することにより、同国における環境保護主義の歴史的発展に光を当てることを目標とする。その結果明らかになった主要な点は以下の通りである。まず、この時期には少なからずの社会主義者が都市化を批判して農業生活を提唱し、そこに英国の自給自足化という意義も加えた。しかしその一方で、H.ソルトが開始した動物の保護をめざす運動は、都市化とより親和的なものであった。さらにG. B.ショウらは、イギリス帝国における天然資源の公的な管理が必要との議論を開始したのである。
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