証券振替決済システムにおける口座記録は、従来、口座保有者が口座記録としての証券を所持することを表すという発想で法的な枠組みが構築されている。しかしこれによっては、振替決済システム全体を整合的に説明できない部分があることに照らし、技術的には同じ仕組みを利用している預金口座も含め、「口座振替システム」につき統一的なルールを模索することとした。口座記録は、証券等金融資産の「帰属のみ」を表すものとし、口座保有者が有する権利の内容は、口座保有者と口座管理機関との関係によるというアプローチが有意義であることを明らかにした。そして、その法的関係について「委任」、「信託」の理論を基礎に検討した。
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