研究課題/領域番号 |
21540326
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物性Ⅰ
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
徳永 英司 東京理科大学, 大学院・理学研究科・物理学専攻, 准教授 (70242170)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2011年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2010年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2009年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 光物性 / 表面・界面 / 水 / ポッケルス効果 / 電気光学効果 / 電気二重層 / 偏向スイッチング / Sagnac干渉計 / ITO / Pt / GaN / TiO2 / DMSO / メタノール |
研究概要 |
電気二重層の水の巨大なポッケルス効果のメカニズムを解明するために、ポッケルス係数の電極依存性、溶媒依存性を調べた。ITO以外の電極であるGaN、TiO2電極界面の水のポッケルス効果、水以外の極性溶媒のITO電極界面でのポッケルス効果を調べた。電極依存性についてはGaN : r13=0.18×100 pm/V、TiO2 : r13=(0.40-0.53)×100 pm/Vを得た。ITO界面の値r13=(2.0±0.3)×100 pm/Vと比べて小さく、水のポッケルス効果には電極依存性があり、電極界面と水との相互作用が重要であることが示唆される。溶媒依存性は、水以外の極性溶媒、メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)について測定し、ITO電極界面でのポッケルス係数の大きさの順序はメタノール、水、エタノール、DMSOの順であることがわかった。まとめると、窒化物半導体と酸化物半導体では酸化物が、水素結合性溶媒と非水素結合性の溶媒では前者がポッケルス係数が大きい結果になっていて、電極と溶媒分子の水素結合による中心対称性の破れがポッケルス効果の原因であることが強く示唆される。 電極界面に平行にプローブ光を入射して、電場印加によるポッケルス効果で発生する空間的な屈折率勾配でプローブビームが偏向するのを検出する実験を新たに行った。測定感度を増すためにSagnac干渉計を利用した検出法を考案している。結果は驚くべきことに、ビームが電極界面近傍を通らないで、電極からビーム径以上、2-3mmのオーダーで離れてもビームの偏向が発生することを発見した。これは、バルク水の領域でポッケルス効果が発生していることを示し、2次の非線形光学効果の発生には電場の印加前に反転対称性が破れていなければならないという非線形光学の常識を破っている。バルク水のポッケルス係数の大きさは、電気二重層内の水のポッケルス係数より一桁小さいが、それでも代表的な電気光学結晶のLiNbO3と同じオーダーの大きさを持っていることがわかった。
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