研究概要 |
エタノールと水を混合すると激しく発熱するが,その分子論的な説明は,なされてこなかった.本研究では,極性基を持つ有機化合物,アミノ酸の誘導体,タンパク質等が水に溶解する時に,水素結合HO-H…OなどとCHをドナーとする「弱い水素結合」C-H…OH_2が協調的に連続した水素結合を形成すること, CH近傍の水分子の極性が低くなり,いわば「ぬるい水」の水分子になるにもかかわらず,水1個あたりに複数のHO-H…Oが形成されて運動性の低い水分子が形成されることを発見した.この協調的な水素結合の形成は,水と混合すると発熱して,しかもエントロピーが減少する「疎水性水和」を分子論的に説明できる.そして,テラヘルツ分光法と計算を併用して,弱い水素結合による分子間振動スペクトルを観測して,弱い水素結合の形成を実証した.
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