研究課題/領域番号 |
21550138
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
機能物質化学
|
研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
藤田 渉 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (50292719)
|
研究期間 (年度) |
2009 – 2011
|
研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
|
配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2011年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2010年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2009年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | 有機ラジカル磁性体 / 磁気相転移 / 結晶構造 / 有機ラジカル / 分子磁性 / スピンギャップ / 反強磁性転移 / 二次元磁性体 / 結晶構造解析 / 磁気的性質 / 相転移 / フェリ磁性 |
研究概要 |
本課題ではネオジムやサマリウム等の希少金属元素に頼らず、豊富な元素(炭素、窒素、硫黄、水素、鉄等)を資源とした高機能磁性材料の開発に取り組んだ。分子性物質を元に高い磁気秩序転移温度(磁石として機能する温度)が見込まれるフェリ磁性体の構築を目指して、(1)結晶内での有機分子磁性カチオンの分子配列と磁性との相関関係の検討と、(2)有機ラジカルカチオンと様々な金属錯アニオン種とを組み合わせて、塩結晶を作成し、分子性フェリ磁性体の創製を目指した。まず、有機ラジカルBBDTA^+(S=1/2)と様々な反磁性錯アニオンとを組み合わせ、結晶の分子内配列制御を試みたところ、GaBr_4塩ならびにTlBr_4塩において二次元正方格子反強磁性体が、InI_4塩ならびにTlI_4塩において二次元正方格子強磁性体が得られた。これらの構造的特徴を持つ分子性磁性体は極めて珍しく、いずれも8Kから15Kの間で反強磁性転移またはメタ磁性転移を示すとともに、有機ラジカルカチオンの分子配列を制御することにより、分子間相互作用をある程度コントロールすることができることを明らかにした。さらに様々な磁性錯アニオン(S> 1/2)とを組み合わせ、塩結晶を作成したところ、Re錯体の塩、BBDTA_2ReCl_6とBBDTA_2ReBr_6とにおいて、それぞれ8. 9Kならびに12. 2Kでフェリ磁性転移を示す事がわかった。Re錯体では配位結合を通じて、Re原子側の不対電子が配位子側にしみ出すことが知られており、第3周期の遷移金属錯体と比べて、しみ出しは2倍以上であることが中性子線回折実験により確かめられている。Re化合物のこのような特徴がBBDTA^+とReBr_6^-との間に働く磁気的相互作用を強くし、高い磁気転移温度を実現したものと考えられる。
|