配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2011年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2010年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2009年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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研究概要 |
本研究では,生体の恒常性維持に関わる重要な指標の一つである血管内皮細胞の一酸化窒素(NO)産生能,ならびに細胞の酸素代謝能についてせん断応力負荷に対する応答変化を調べ,生理学的環境下での力学的刺激と細胞機能異変との関連について明らかにすることを目的とし,血管内皮細胞,もしくは血管細胞,血管組織に関して,次の3項目1)せん断応力刺激によるNO活性機構, 2)動脈壁内部の細胞でのLDL輸送機構, 3)頸動脈分岐部での酸素輸送機構,について調べた. 1.については,内皮細胞が二系統のせん断応力刺激による産生機構を有することを予想し実験を行った.その結果,遺伝子レベルで調節が行われるNO産生機構については,転写因子レベルでは活性が確認されたものの,蛋白レベルでは十分に確認できず,長時間の応力付加が必要であることが予想された. 2.については,血管平滑筋細胞のLDL代謝機構のせん断応力依存性について調べた.その結果,内皮細胞が持つLDL代謝機構のせん断応力依存性と同程度の機能が平滑筋細胞にも実現されると仮定した場合,そうでない場合に比べ,動脈組織内での著しいLDL代謝の増進が予想された.これは内皮細胞層でのLDL透過率によっても多大な影響を受けることが考えられる. 3.については,若年層と老年層の頸動脈分岐部形状を模擬した動脈壁内部における酸素代謝のシミュレーションを行った.その結果,加齢と共に血行力学的な危険因子(低酸素,低せん断応力)が頸動脈分岐部で増大することが予想された.これは加齢と共に血管の形状や内皮細胞の状態が変化し,せん断応力刺激に対する細胞の機能応答が大きく変化するためであると考えられる.
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