配分額 *注記 |
5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2011年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2010年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2009年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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研究概要 |
本研究は,ステート遷移に伴なう光化学系IIおよび光化学系I超複合体の構造変化を明らかにすることを目的として行っている.本年度は,まずステート遷移前の無傷の光化学系I-LHCI超複合体の構造を決定した.まず,緑藻クラミドモナスのチラコイド膜可溶化条件を比較検討した上で,可溶化チラコイド膜をショ糖密度勾配超遠心法により分離し,得られた光化学系I-LHCI画分を酢酸ウラニルによってネガティブ染色した.単粒子解析の結果,8個のLHCIが結合した巨大な光化学系I-LHCI超複合体が確認された.ホウレンソウやシロイヌナズナなどの高等植物の光化学系I超複合体の構造は電子顕微鏡を用いた単粒子解析により報告されてきた.これまでの報告によると,高等植物では,単量体のLHCIが片側にのみ4個,片寄った形で結合した構造が観察されている一方,緑藻クラミドモナスでは4個以上のLHCIが結合されることが知られていたが,その構造は明らかではなかった.今回,改良された可溶化条件によるクラミドモナス標品において,高等植物で4個のLHCIが結合している部分のさらに外側に4個のLHCIが結合していることがわかり,緑藻の光化学系Iは,二重の半円状の集光アンテナ構成をとることが明らかとなった.緑藻がなぜ大きなステート遷移能力を示すのか,というより本質的な問題へアプローチする上で,基礎的な知見が得られたことになる.また,同じ微細藻類でありながら異なるステート遷移能力を示す珪藻タラシオシラやプラシノ藻オストレオコッカスなどのモデル微細藻類の光化学系Iの構造も単粒子解析も進めている
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