研究課題
基盤研究(C)
小笠原諸島の父島と母島において2009年7月から2010年5月の間に3度(夏、冬、春)の採集調査を行い、季節変化を含めたショウジョウバエの分布調査を行った。その結果、固有種9種を含む22種116, 857個体のショウジョウバエを採集した。7月の父島と母島では近年侵入したDrosophila hypocaustaが最優占種であった。一方12月と4月の採集では父島でD. simulansが、母島では固有種のD. pectiniferaが最優占種であった。今回の採集では侵入種であるD. hypocaustaやD. suzukiiの増加が見られたが、固有種のD. pectiniferaなども多く採集されており、生物多様性は増加していることが示された。遺伝的多様性と分化の研究は、ミトコンドリアDNAのCOI及びCOII遺伝子について、固有種のD. pectinifera、Dichaetophora ogasawarensis、Scaptomyza hexasticha、侵入種のD. hypocausta、D. suzukii、D. kikkawaiを用いて行った。固有種の遺伝的多様性はいずれも大きく、侵入種ではD. hypocaustaのみ大きかった。ハプロタイプ解析からは、侵入種は父島から母島へ移住していることが示唆された。また固有種の遺伝的特性は父島と母島の集団間で異なり、それぞれの集団は個別に保護されるべきであると考えられた。
すべて 2011 2010 2009
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (10件)
低温科学
巻: 69巻 ページ: 113-119
巻: 69 ページ: 113-119