研究概要 |
がんなどの化学療法において,多剤排出トランスポーターの過剰発現による多剤耐性化は解決すべき重要な問題である。出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeの多剤耐性化遺伝子(PDR)のネットワークはABCトランスポーターの転写因子およびABCトランスポーター自体をコードしている。本研究では154種のフラボノイド類を合成し, PDR1, PDR3, PDR8, PDR10, PDR11およびPDR16遺伝子を破壊した出芽酵母を用いて薬剤感受性に基づくスクリーニングを行った。その結果,フッ素原子を導入したフラボノイド類がpdr1D株に対する特異的増殖抑制活性を有することが明らかとなった。この結果は多剤耐性化メカニズムに対する知見を深めるばかりでなく,がんの化学療法における新しい展開が期待される。
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